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【書評】『「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

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Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

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「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由
加藤隆行 著
小学館クリエイティブ
2019年9月発売

書評

本書は著者自身の経験を基に、職場でのストレスや人間関係の改善、自己肯定感の重要性について探求する書籍です。
著者はかつてIT企業で働いていた際にうつ病を経験し、その過程で得た知見を通じて読者に勇気と希望を与えてくれています。

特に自己肯定感を高めることがどのように人生を変えるかが強調されており、著者は職場でのストレスやパワハラ、理不尽なクライアントとの関係に苦しんだ経験を詳細に描写し、その原因が自己肯定感の低さにあると気づかせてくれます。
自己肯定感を高めることで「敵」との関係が変わり、自分自身が無敵になれるというメッセージを伝えています。

さらに著者は「自分らしさ」を大切にすることを提唱し、従来の「会社に自分を合わせる」働き方から「社会を自分に合わせる」働き方への転換を提案しています。
これは心の病を抱える人々が直面する現実的な問題に対する解決策として位置づけられています。

この本は自己肯定感を高めるための実践的な方法や考え方が紹介されており、特に職場でのストレスに悩む人々にとって有益な内容となっています。
著者の体験を通じて心の健康や自己肯定感の重要性についても触れられており、多くの人々に共感される内容です。

著者である加藤様はメンタル本大賞の選考委員であり、本書も2021年の特別賞を受賞されています。
活動開始当初から支えてくださるメンバーの一人で、多くの方をあたたかい気持ちにさせてくれる方です。


製薬会社の研究者の立場からも職場での精神的な負荷とその対策に関心があり、特に自己肯定感の向上がメンタルヘルスに及ぼす影響は、重要なテーマと考えています。
現代のビジネス環境では自己否定的な思考がストレスの増幅に繋がり、それが結果的に心身の不調や生産性の低下へと結びつくケースが多いと感じます。

本書では、自己肯定感が単なる「心のケア」に留まらず、職場の人間関係の改善や自己変革にどのように結びつくかが説得力をもって描かれています。
著者の体験に基づく具体例は、他者の意見に左右されない自分軸の大切さや、自己受容がもたらすポジティブな効果を教えてくれます。

また「社会を自分に合わせる」という視点の転換は、心の健康を長期的に維持する上での重要な提案として評価できます。
自己効力感を高めることで治療や社会生活への参加意欲が向上するケースは多く見られますが、本書のように「自分らしさ」の尊重をもつことで、自己を無理に環境に適合させるのではなく柔軟にするという視点が新たな価値を生み出してくれます。

こうした価値観の変革が仕事と人生を調和させる上で大切であり結果的に仕事でのストレスが減少し、健康的な働き方へと繋がっていくでしょう。
著者の経験を基にした自己肯定感の向上法や、職場のストレスに対するアプローチは、科学的視点からも裏付けられた内容であり、共感性と実践性を兼ね備えたものです。
特に、日々の業務に追われがちな人や職場での人間関係に悩む人にとって実践する価値が詰まった一冊だと感じました。

選考委員プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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