このたび、株式会社ブックダムさまが取り組む「ペイフォワード文庫」への参加機会を得て、メンタル本の【中高生向けセレクション】に挑戦した私たちですが、子を持つ親として、自戒を込めて伝えたいことがあります。
大人たちに知って欲しい子どもたちを取り巻く環境の変化
文部科学省ホームページに掲載されている、令和3年6月29日付「『児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議』審議のまとめについて(通知) (PDF:2.0MB) 」(以下「報告資料」)では、コロナ渦における子供たちのさまざまな環境の変化や苦悩が明らかにされています。
令和2年(2020年)3月以降、感染拡大防止のため、私たち大人は在宅勤務や自宅待機を強いられました。
当然ながら、子どもたちの学校も一斉休校となりました。
しかし、私たちの行動の変化が子どもたちにどれほど重大な影響を与えているかについて、私たちはなかなか気づけません。
報告資料(p15-16)をもとに、私たちなりの解釈を加えて、一部をご紹介させていただきます。
胸が締めつけられる報告内容
書斎を持たない父親はリビングルームで仕事をし、家中に声を響かせながらオンライン会議。
母親は連日、家族全員分の食事の用意に追われ、自分の時間を持つことが困難となった。
経済的な心配や先行きの見えない不安から大人たちの酒量は増加。
大人たちは酩酊し、声が大きくなり、感情の制御も困難になる。
報告資料では、上記の結果、家族間の衝突は発生しやすく、苛立ちの矛先は子供に向かいやすくなった(かもしれない)こと。
在宅時間が長くなったことで、これまで見えなかった子供たちの行動に気づきやすくなり、干渉して叱責しがちとなってしまった(かもしれない)こと。
が書かれていました。
「かもしれない」と書いたのは、報告内容が一部推測を含むこと、そして私たち自身はまさにその当事者であったかもしれませんが、他の大人たちはそうではなかった可能性を含めたからです。
酒量については、令和2年(2020年)について言えば、1世帯あたりの酒類支出金額は4月が前年同月比で21.0%増加、5月は25.6%増加している(総務省統計局の家計調査)と報告資料(p15)で触れられています。
しかしながら、これらの文部科学省の指摘は、ほとんどの大人たちに心当たりがあるのではないでしょうか。
その結果、子供たちには何が起きたか。
令和2年(2020年)の児童・生徒(小・中・高生)の自殺者数は過去最多
小・中・高校、児童生徒の自殺数 過去最多 #日テレNEWS https://t.co/D5TXOszUPz
— 日テレNEWS (@news24ntv) October 13, 2021
大人たちの行動が子どもたちの自殺に直結してしまったかどうか……
それはもはや解明できませんが、もともと悩みを抱えていた子供たちにとっては深刻な事態が起きていた(現在も起きている)ことは言うまでもありません。
そして、私たちが何かしらの方法で手を差しのべられたかもしれない、救えたかもしれないと思うと、子を持つ親としては苦しくて、胸が張り裂けそうになります。
「学校へ行きたくない」という訴えは命に関わるSOS
専門家たちは、「学校へ行きたくない」という訴えは命に関わるSOS だとして注意を呼びかけています。
命絶つ子ども増 夏休み明けは特に注意、異変のサイン見逃さないで – Yahoo!ニュース
①「学校へ行きたくない」という訴えは
命に関わるSOS
②命を守るために「行きたくない」という訴えを見逃さないでください
③より多くの命を守るため『TALKの原則』に沿った対応を https://t.co/X8KPeYSlgr— 石井綾華|特定非営利活動法人LightRing.代表理事・若者自殺対策全国ネットワーク共同代表 (@AyakaIshii) September 5, 2021
以前のような家族団らんのスペースは奪われ、時に癒しの場や避難場所となり得た学校でのコミュニケーションも制限され、家庭で受けた心の不安を打ち明ける機会が減ること。
運動会や文化祭、遠足や修学旅行などの行事が軒並み中止・延期となり、夢や目標が奪われて、それによる達成感を得る機会が減ること。
これらの満たされない思いから、スマホをいじり、ゲームや SNS、あるいは動画鑑賞に没頭せざるを得ない状況に陥っていた子どもたちを…… 大人たちが叱責してしまっていたとしたら。
子どもたちの「居場所」を奪い続けていたとしたら。
当時(今も)、大人たちもつらい日々を送っていた(送っている)ことは間違いないのだけれど・・・
最後に
今回はじめてメンタル本の【中高生向けセレクション】に挑戦しました。
しかしながら、取り上げた作品は子どもたちにとっての適切なチョイスかどうかはわかりません(良書であることは間違いありません!)。
本には読者との相性が必ずあり、毒にも薬にもなったりするからです(薬になるからと言って、病気の治療につながるという意味ではありません!)。
ただ本との出会いによって救われた私たち実行委員は、自己満足かもしれませんが、伝えずにはいられません。
「苦しいときや困ったときに、本が支えになってくれる。本にはすごい力がある。そう知っているだけでも、きっと生きることがラクになると思うのです」
これは『心と体がラクになる読書セラピー』寺田真理子 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(p32)で紹介されている言葉ですが、心の底からそう思います。
このサイトを訪れてくれた子どもたちや若者が読書をきっかけに救われますように。
そして大人たちの接し方が変わって、少しでもラクに生きられますように……。
心から願っています。
そして、苦しんでいる大人たちも同じように救われますように……。
子育てで病んでしまいませんように……。
【心のSOSに気づいたら、相談してみてください】
心がもやもやしたり、ざわついたら、それは心のSOSかもしれません。
まわりの人に話せなかったり、人と話す時間が持てなかったりするときは、電話やSNSで相談してみませんか?■知らせてほしい、心のSOS。(MHLWchannel)https://t.co/cSgm4ZCesF
— 厚生労働省 (@MHLWitter) August 12, 2022
【体の不調や悩みを感じたら、相談してください】
眠れない、食欲がないなどの体の不調を感じたときも相談してみてください。原因は心の不調かもしれません。#電話相談 やLINE・チャットの #SNS相談、いろいろな #相談窓口 があります。■相談窓口のご案内リーフレットhttps://t.co/IvT5aIShPR pic.twitter.com/RzmoahRW8K
— 厚生労働省 (@MHLWitter) August 15, 2022
メンタル本大賞 実行委員会
2022年8月21日