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【書評】『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』(評者:河合南/書店店主)

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古本と新刊のこだわりの選書やアクセサリーなどの雑貨を取り扱う独立書店「百年の二度寝」(東京都練馬区)の店主 河合南さまより書評をお届けします!

メンタル本大賞®2022 ノミネート作品

なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?
西剛志 著
アスコム
2021年6月発売

書評

評価ポイント

  1. イラストやクイズを交えた楽しいつくりになっている。
  2. 脳科学の見地から見ることで、自身の見方の偏りがわかったり、一歩引いた視点から自分を眺めるきっかけになる。
  3. 文章が平易でわかりやすい。

タイトルにひかれて読んだ人は、自分の見ている世界がクルリと変わる感覚を得たのではないでしょうか?

脳科学者によるこの著作でまず説かれるのは、自分と他人では「脳のバイアス」が異なり、したがって「見えている世界」も違う、ということです。

同じシマウマを見ても、人によって見え方が変わります。

「白地に黒いしま」と答える人に、
「それ、黒地に白いしまですよ」と言ったところで、
「そうは見えない。何を言っているの?」と返されるだけ。
見え方が異なる2人が激論を交わしたところで、
いつまでも平行線をたどるだけです。

出典:『なぜ、あなたの思っていることはなかなか相手に伝わらないのか?』西剛志 著/アスコム(p6-8)

自分が思っていることが伝わらないとき、自分を責めてしまったり、相手の悪意を疑ったりします。

しかし、相手と自分が違う世界を見ているのだと考えると、自分も相手も悪くない、ただ異なった存在なのだと思いなおすことができる。

そうやって、自分の見方の偏りを修正するための装置として、「脳科学」はとても優秀だし、説得力もある。

随所に挟み込まれる「質問」もクイズのような楽しさがあり、著者の解説を聞くと「なるほど」という納得も得られます。

楽しく読んで、自分の思い込みに気付くことができる一冊だと思います。

「百年の二度寝」店主・河合南さんよりお知らせ

独立書店 百年の二度寝(西武池袋線 江古田駅より徒歩5分)は書籍の販売以外の活動を行える場を目指し、あらゆる表現を扱う本屋「とか」の店をうたっています。


現在、アニメ『おしえて北斎!-THE ANIMATION-』の美術監督、コミックエッセイ『実録 解離性障害のちぐはぐな日々』(合同出版)の著者でもあるTokinさんの原画を期間限定で(2022年9月5日まで)取り扱っています。

ぜひお立ち寄りください。

メンタル本大賞実行委員会

評者プロフィール


河合南(かわい・みなみ)
東京都練馬区の書店「百年の二度寝」の店主です。発病してから15年以上付き合ってきたうつ病の当事者でもあります。店主自身が精神疾患の当事者と言うこともあり、精神疾患の当事者さんや周囲の方が読める本にも力を入れています。

公式サイト・SNS
百年の二度寝ホームページ
百年の二度寝 Twitterアカウント(@mukadeyabooks)

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