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【書評】『心と体がラクになる読書セラピー』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

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Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

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心と体がラクになる読書セラピー
寺田真理子 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2021年4月発売

書評

この本は、読書が持つ癒しの力を活用しストレスや心の問題に対処する手段としての「読書セラピー」が展開されています。

本書は二部構成になっており、第一部では読書セラピーの理論的背景を説明しています。
読書がどのように心身に良い影響を与えるか、またその歴史や実践方法について詳しく述べられており、特に古代ギリシャから現代に至るまで、読書が人々の心を癒す手段として認識されてきたことが描かれています。
著者は、読書セラピーがうつ病やストレス軽減に効果的であることを示す研究結果も紹介しています。

第二部では、実際にどのように読書セラピーを実践するかについて具体的なガイドラインが提供されており、本の選び方や読み方、さらには特定の状況に応じたおすすめの本リストが含まれています。
孤独感や不安感を抱えているときにはどのような本が適しているかなど具体的なアドバイスも盛り込まれています。

著者は自身の経験を通じて読書がどれほど心の支えになるかを語っており、幼少期から多くの困難に直面しその中で読書が精神的な回復に寄与したことを強調しています。
このような個人的な背景が、本書に対する信頼性と共感を生んでいます。

『心と体がラクになる読書セラピー』は、単なる読書法ではなく自分自身を理解し、癒すための手段としての読書の重要性を再認識させる内容となっています。
読者はこの本を通じて自分自身に合った本を見つけ出し、それを通じて心身の健康を促進する方法を学ぶことができます。

著者である寺田様はメンタル本大賞の選考委員であり、2022年のMVPも受賞されています。
優しく語り掛けるような書評は非常に高い人気があり、様々なフィールドで活躍されている方です。


本書は研究者としても非常に興味深い内容です。
本書で紹介される「読書セラピー」は、メンタルヘルスケアを日常的に実践するための手軽な方法として注目できます。

私は心の不調やストレスに対する薬物療法に注目しがちですが、非薬理的なサポート法も併せて考えることが増えています。
読書を用いることで心に癒しを与えるという発想は、こうしたメンタルケアの一環としても魅力的です。

また、研究職の忙しい日常の中で、精神的なリフレッシュを図るための具体的なヒントとしても非常に有用です。
特に読書を通じて自己理解を深め、精神的な回復を目指すアプローチは自己ケアの一環として役立ちます。
私自身も業務の合間にこうした読書方法を試すことで、心のリセットを図るきっかけになり得ると思います。
長時間にわたる研究活動やデータ分析などで精神的に疲弊する場面でも、こうしたアプローチがメンタル面での安定に貢献するでしょう。
研究職としても、患者さんにとってのセルフケアの選択肢として、読書セラピーが有効な方法となる可能性を感じ、個人や医療現場での応用を検討してみたいと思わせてもらえた一冊です。

選考委員プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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