2022年は著者として優秀賞に輝き、2023年以降は選考委員として参画。多数の書評を寄せて 2023選考委員MVP賞を獲得した 古山有則さま(メンタルトレーナー) の書評をお届けします。
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「どうせ私なんて‥‥‥」がなくなる「謙遜さん」の本 田中遥、加藤紘織 著 飛鳥新社 2024年8月発売 |
書評
「いやいや」と謙遜していた私が10年経って「私天才なんで!」と言うようになっている。
約10年前のことです。
セミナーに参加したとき、こんなことがありました。
「みんなの前で堂々と発言できてすごいですね!」
「僕天才なので!」
え?
ある自己啓発系のセミナーに参加した時、私よりも1歳か2歳か年下の男性が、30人もいる教室で、手を挙げて発言をしたんです。
すごいな、私もなりたいな、そう思いました。
あまりに堂々と話してたので、休憩時間にその男性のところにいき、私は聞いたんです。
「みんなの前で堂々と発言できてすごいですね!」
当時の私は自信もなく自分を変えたくて仕方がありませんでした。
藁にもすがる思いで何かをヒントを得ようと思ったんです。
「僕天才なんで!」
……私はフリーズしました。
時計が止まるってこういう経験だと思うくらい何も言葉が出てきませんでした。
当時の私の口癖は「いやいや」です。
本書でいう「謙遜さん」です。
何か褒められても、常に「いやいや」と顔の前に手を持っていき、謙遜と卑屈の行ったり来たりでした。
別の機会に友達から褒められたこともありました。
ただ私がいうのは、このような感じです。
「いやいや、やめてください。そんなことないのですから」
ただ私はその年下の男性が答えたように、「僕天才なので!」と言えるようにずっとなりたかったです。
自信満々で生きることができたら、どれだけ人生が楽しんだろうか。
そんな日を夢見ていました。
過去の私は謙遜さんとうまく付き合う方法がわかりませんでした。
謙遜さんが楽に生きるには、本書にある「過去は、いつでも書き換えられる」(101ページ)という考え方がおすすめです。
過去は過去!と思いますよね?
ただそうではないんです。
ハイデッガーは、過去は「変えられない出来事ではない」と主張します。
なぜなら、過去とはその人の中にある、過去に起きた出来事に対する “現在の解釈” にすぎないと考えるからです。
出典:『「どうせ私なんて‥‥‥」がなくなる「謙遜さん」の本』田中遥、加藤紘織 著/飛鳥新社(101-102ページ)
ということは、私も解釈さえ変えれば「僕天才なので!」と言えるようになるんです。
実際に10年経った今、今日は2025年2月2日ですが、あるやってみたいアイデアが湧いてきて
「やっぱり私は天才なんだ」と声に出していました。
(笑)びっくりしました。
この記事を書きながら、10年で人はこんなにも変わるんだと思いました。
本書でも書かれていましたが、過去は本当にいつでも書き換えられるんです。
事実は変えることができなくても、私は捉え方を変え続けてきました。
たとえば、1つ例を挙げると、私は円形脱毛症で苦しんでいましたが、それは過去の事実です。
事実は変えることができません。
元々、私の円形脱毛症は、メンタルが弱い象徴だと捉えていました。
ただ、このようにも捉えられるんです。
「円形脱毛症の経験があるからこそ、同じようにメンタルで苦しんでいる人の気持ちがわかるんだ!よしメンタルトレーナーとして活動ができるかもしれない」
私の謙遜さんは捉え方を変えたことによって、どんどん飛躍していきました。
まさか10年経って「天才」と言っているなんて……。
10年前の私は、こんな最高の未来がくるなんて夢にも思っていなかったです。
希望が溢れる未来になるために、本書を読んでみてくださいね。

評者プロフィール
メンタル本大賞®2022 優秀賞
メンタル本大賞®2024 選考委員MVP賞
古山有則(こやま・あきのり)
メンタルトレーナー
大学院修了後、相続専門税理士法人に勤め、その後独立。
燃え尽き症候群や円形脱毛症をきっかけに、書籍を1万冊以上読み漁る。
高校時代に野球の国民体育大会(国体)優勝で培ったメンタル強化メソッドを統合し、
「今が人生でいちばん楽しい」状態を常にアップデートできる独自のメントレを導き出す。
「あなたが今、どんな状況・どんな状態だったとしても価値がある」というメッセージを届けるのがミッション。
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ココロちゃんの取扱説明書(トリセツ) 古山有則 著 あさ出版 2021年12月発売 |

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