選考委員の平光源さま(精神科医)より、ノミネート作品の書評をお届けします!
(書評一覧はこちら)
精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉 精神科医Tomy 著 ダイヤモンド社 2020年2月発売 |
- 実行委員会からの選出コメントはこちら
書評
この本の良いところを3つに分けて解説しますね。
1.1秒は大袈裟でも、3秒で不安が吹き飛ぶ簡潔の極の本
この本は、フォロワー数13万人(執筆当時)の精神科医Tomyさんが紡ぎ出したTwitterの言葉をまとめたものです。
Twitterという短い文章の中に、人間が生きる時に必要な真理がたくさん詰まっています。
例えば人生の目的について。
誰だって、いつかは
この世からいなくなるわ。
だから、
人生の目的なんてないのよ。皆、自分のグライダーを操縦しているようなもの。
風に乗り気持ちよく操縦すればいい。
着陸したら、それで終わりだから
どこに向かってもいいのよ。出典:『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(精神科医Tomy 著/ダイヤモンド社)p152
このように本当に簡潔に、それでいてわかりやすく伝えてくれます。
1日何十人と診察をしなくてはいけない短い診療時間の中で、1人でも多くの患者さんを救いたいと思って簡潔にアドバイスをするTomyさん。
そんな外来でのTomyさんの姿が目に浮かんでくるようです。
2.とにかく読みやすい本
この本は、体調が悪かったり元気がなかったりする方でも読みやすいように、数々の工夫がこらされています。
例えばこの本では、Tomyさんの言葉は書体も大きく、1ページで完結します。
本当に本が読めない方でも、「1ページぐらいなら」と読み始めることができると思います。
また写真のように、各章ごとに色分けされているので、自分が心に残った言葉をもう一度探すときに、ページを覚えてなくても簡単にたどり着けます。
他にも書ききれない工夫がいっぱいありますが、買ってからのお楽しみ。
本当にTomyさんや編集者さんの心配りを随所に感じる優しい本です。
3.Twitter版の愛の讃歌
私達の多くは、美輪明宏さんやマツコデラックスさんの、時に皮肉っぽく時に厳しい言葉を、フムフムなるほどときいてしまいます。
私もお二人が大好きなので、それはなぜか考えていました。
それはジェンダーの問題に常に向き向き合い、たくさん自分が傷ついてきたので、相手に対する深い愛と思いやりがあるから。
どちらの性も純粋に生きれない大変さのなかで、自分を生きることの大切さを知り、それを真心から伝えてくれてるから。
そして、男性性と女性性の両方の視点からもの事を考え続け、伝え続けているのでその意見に単なる男女のバランスを超えた「統合」を見るからだと思います。
Tomyさんの呟きには、たった256文字のなかに、生きづらい私たちに対する尊敬と愛と思いやりが詰まっています。
「生きる事はこんなにも素晴らしいことなんだよ」とう思いが詰まった呟きという名の詩の数々。
それは現代版、「愛の賛歌」と言っていいと思います。
まとめ
この本を一言で言うと、「一瞬で不安が吹き飛ぶ愛の讃歌」。
今苦しんで本を読む元気すらない方や、日々の生活に追われ、まとまって本を読む時間の無い方にお勧めです。
Tomy先生、すばらしい本をありがとうございます。
出典:平光源さまFacebook投稿(2021年6月21日)
評者プロフィール
2022 優秀賞・2021 選考委員MVP賞
平光源(たいら・こうげん)
東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。
あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから 平光源 著 サンマーク出版 2021年4月発売 |
公式サイト・SNS
平光源WEBサイト(総合案内)
Twitter
YouTube