2022年は著者として優秀賞に輝き、2023年から選考委員としてご協力いただいている古山有則さま(メンタルトレーナー)より書評をお届けします。
あなたの「しんどい」をほぐす本 Poche 著/もくもくちゃん イラスト KADOKAWA 2022年12月発売 |
書評
最初の1ページの1行目。
句読点を含めて、たったの17文字。
この言葉を読んだ瞬間、心が軽くなりました。
その言葉には、テクニックが書かれていたわけではありません。
すぐに人生が変わるようなノウハウが書かれていたわけでもありません。
そこに何が書かれているのか。
それは、著者のpocheさんが、本書を手に取ったあなたのことを思って、どんな言葉だったら、寄り添えるのか?を考えて考えて考え抜かれた17文字が書かれているのです。
素敵な言葉との出会いは、僕は宝だと思っております。
僕が今生きていられるのは、本や人を通じて、素敵な言葉に出会ってきたからです。
本書との出会いも、宝だと言えます。
たった1行を読んだだけで、カウンセリングを受けたような心の軽さを感じています。
この感覚を僕だけで味わうのではなく、あなたにも、この感覚を伝えたいと思い、この文章を書いています。
本当は、ここで具体的になんと書いているのかを紹介させていただきたいのですが、
それは、映画の結末を言ってしまうもの、、、
人気恋愛リアリティ番組の『バチェラー』(アマゾンプライムで放送されています)で、見始める前から、最終的に誰と付き合うのかを言ってしまうもの。
そんなこと絶対に嫌ですよね。
僕なら絶対にネタバレを見たくはありません。
秘密の17文字を今書くことは、読者のあなたの楽しみをとってしまうことになりかねないので、あえて紹介はしません。
ヒントは、著者のpocheさんが横にいて、大丈夫だよ、そばにいつからね、そんな気持ちになる言葉です。
もちろん響く部分は、冒頭だけではありません。
「ひとり反省会で悩むのは、あなたが頑張った証拠」(16ページ)
「一人反省会をやめたい」と悩むあなたへ
あなたがダメだから「反省会」をしちゃうんじゃなくて、それだけ一生懸命だったから反省会しちゃうだけ。
考えすぎでも悩みすぎでもなくて、こんなに考えて悩むほど「あなたはとっても頑張った」んですよ。 pic.twitter.com/Lbq8RMG1b5— Pocheカウンセリングルーム (@Poche12474982) April 24, 2023
過去の僕も、精神的にしんどさを感じて生きてきました。
毎日のように自己嫌悪を繰り返して、気分が下がっていきました。
言葉を浴びることで、
「そうなんだ、あのときの僕は頑張っていたんだ」
自分を責めていたけど、僕が悪いわけではなく、頑張っていたからこそ、悩んでいたんだと思うことができるんです。
本書では、このように過去のあなたが抱えてきた「しんどい」気持ちを、あなたを全面的に肯定してくれる捉え方で包みこんでくれます。
読み終わってから僕の心は、包み込まれているんですよ、ぎょうざの皮のように。
包み込まれているというのは、僕があなたの味方だからね、どんなことがあっても、僕がついているからね、という心理的な安心感だと思います。
しんどさを抱えているあなたに、ぜひとも手にとってほしい1冊です。
評者プロフィール
メンタル本大賞2022 優秀賞
古山有則(こやま・あきのり)
メンタルトレーナー
大学院修了後、相続専門税理士法人に勤め、その後独立。
燃え尽き症候群や円形脱毛症をきっかけに、書籍を1万冊以上読み漁る。
高校時代に野球の国民体育大会(国体)優勝で培ったメンタル強化メソッドを統合し、
「今が人生でいちばん楽しい」状態を常にアップデートできる独自のメントレを導き出す。
「あなたが今、どんな状況・どんな状態だったとしても価値がある」というメッセージを届けるのがミッション。
ココロちゃんの取扱説明書(トリセツ) 古山有則 著 あさ出版 2021年12月発売 |
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