公認心理師、やりたいこと探し専門心理カウンセラーの中越裕史さまより書評をお届けします!

メンタル本大賞®2022 エントリー作品

僕たちはもう帰りたい
さわぐちけいすけ 著
ライツ社
2019年3月発売

書評

ああ!自分と同じだ!

もうタイトルからして、気になってしかたがない本です。

タイトル通りの内容なので、このタイトルに惹かれた人は、きっと楽しく読めると思います。
そして、自分と似た境遇の人を見つけて、ちょっと気持ちが楽になるはず。

いろんなケースが載っているので、どれか一つは「ああ!自分と同じだ!」というのがあると思います。

人間ってなぜか、自分と同じような境遇の人を見るとちょっとうれしくなるというか、心が癒やされますよね。

自分がおかしいわけじゃないんだ

悩んでいるときって、

「こんなことで悩んでいる自分がおかしいのかな。自分がもっとしっかりしてたら、こんなことで悩まないのかな…」

と、つい自罰的になってしまいます。

だから、

「自分と同じようなことで悩んでいる人がいるんだ、自分がおかしいわけじゃないんだ」

と、自分のまともさを再確認できて安心するのでしょう。

すべてを上手く器用になんてムリ

断れずに自分を追い込んでしまう。
まわりに合わせて残業しなきゃと思って、しんどくなってしまう。
仕事の量は減らないのに、残業は減らせといわれてしまう。

すべてを上手く器用になんて、とてもこなせない。

まわりを責めても解決しないけれど、自分だって悪くない。

そんなイライラやうっぷんがつもりに積もってどうしようもなくなると、

「もう帰りたい」

の一言以外、頭に思うしかなくなるのかも知れません。

一番共感した言葉

僕が一番共感したのは、

「たとえ休日でも もう帰りたい」
「明日はお休みだけど… もう帰りたい」

これ、僕もサラリーマンのころ、ずーっと思っていました。

たとえ休日でも もう帰りたい

病めるときも 健やかなる時も もう帰りたい
今日もいい天気だな そしてもう帰りたい

いついかなる時も 明日はお休みだけど…
もう帰りたい…

出典:『僕たちはもう帰りたい』(さわぐちけいすけ 著、ライツ社/p108・109)

「もうそこまで思うようになってしまったら、もう辞めてしまった方がいいのだろうな~」

と、いまは素直に思えるのですが、当時の自分は

「仕事を続けるのも嫌だけれども、辞めるのも怖い…」

そう思って身動きが取れなくなっていました。

仕事を続けても不幸な未来しか見えないし、かといってすぐ辞めるほどの勇気も気力も持っていない。

だから、帰りたい帰りたいといつも思っていたのでしょう。

当時の自分がこのマンガを読んでいたら、もうちょっと気持ちが楽になっていただろうな~と思います。

そしたらもうちょっと、しんどい時期を上手く乗り切れたかもしれないのに。

ほとんどマンガでできているので、疲れている時でもさらっと読めるのも、もう帰りたい人にとってはすごく良いと思います。

「もう帰りたい」

心の中でそうつぶやいている人は、一度読んでみてはいかがでしょう。

評者プロフィール


中越裕史(なかごし・ひろし) 
公認心理師。やりたいこと探し専門心理カウンセラー。1979年生まれ。大学卒業後、リフォーム会社、営業代理店を経て猛勉強のすえカウンセラーになる。独自の考え方を提唱し、2005年より「天職探し心理学 ハッピーキャリア」を運営。社団法人日本産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー。日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー。

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中越裕史 著
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