公認心理師、やりたいこと探し専門心理カウンセラーの中越裕史さまより書評をお届けします!
今日こそ自分を甘やかす 根本裕幸 著 大和書房 2021年12月発売 |
書評
メンタルをやられるといっても、実はいろんなタイプの人がいて、いろんな原因があります。
劣悪な労働環境でうつになる人もいれば、遺伝的な要素が絡んでいる人もいます。
自分の認知、物の考え方が原因になる人もいます。
その中でこの本は、つい自分自身を責めてしまう人や「もっとがんばらねば…」と自分へのハードルが高すぎる人に向いていると思います。
そういう意味で、本当にタイトル通りの本だと思います。
追い詰めていた自分。なんとなく肩に力が入っていた……
僕自身、タイトルを見て、「いまの自分に足りていないものだな~」と思って読みました。
ここ1年半ほど、資格試験と子育てがあり、とてもハードでした。
いつも子供をお風呂に入れるのは僕の役割だったので、「たまには一人でゆっくりとお湯につかりたいな~」と思いながらも、
「うちの奥さんもがんばっているのだから、僕が自分の役目を投げ出してはいけない…!」と、自分を追い詰めていた気がします。
普通に奥さんにいえば、1日2日くらい、お風呂当番を代わってもらえるのに。
「いい父親、いい夫でありたい」という気持ちが、どこかにあったのだと思います。
いや、もう少し正確にいうと「これだから男の人は…!」といわれるのが怖くて、無理をしていたのだと思います。
でも、そうやってなんとなく肩に力が入って、自分に厳しくなってしまうことは、誰にでもあると思います。
自分に厳しく、追い詰めてしまうのは当然のこと……
僕は公認心理師として、いつもそういう相談者さんのカウンセリングをしているのに、気がついたら自分自身がそうなっているのですから、大人になると自分を甘やかすというのは、なんとも難しいものです。
さっそく一人でお風呂に入って、ロールケーキを買ってきて食べたら、なんだか急に気持ちが楽になりました。
著者自身もそういうことで悩んだり、自分に厳しすぎた経験が豊富なようで、特に本を書くときの苦悩は、「ああ!わかるわかる!!」と思って読みました。
どの著者さんも同じような思いをして書いているんだな~と思うと、ちょっと楽な気持ちになれます。
そして、僕たち心理の専門家でもこんなものなのですから、普通の人がつい自分に厳しくなりすぎて自分を追い詰めてしまうのは、いたって当然のことかも知れません。
「最近、ちょっと自分に厳しすぎたな…」
「自分は自分を責めてしまう傾向があるかも…」
「マジメすぎるとまわりからいわれる…」
そういうことに思い当たる節があるのなら、この本を読んで気持ちが楽になるのではと思います。
評者プロフィール
中越裕史(なかごし・ひろし)
公認心理師。やりたいこと探し専門心理カウンセラー。1979年生まれ。大学卒業後、リフォーム会社、営業代理店を経て猛勉強のすえカウンセラーになる。独自の考え方を提唱し、2005年より「天職探し心理学 ハッピーキャリア」を運営。社団法人日本産業カウンセラー協会認定 産業カウンセラー。日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー。
日本一やさしい天職の見つけ方 中越裕史 著 PHP研究所 2019年9月発売 |
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