【中高生向けセレクション2022】作品紹介
『心と体がラクになる読書セラピー』
心と体がラクになる読書セラピー 寺田真理子 著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2021年4月発売 |
この作品は、メンタル本大賞実行委員会が「ペイフォワード文庫」(大人が中高生に読んで欲しい本を書店を通じてプレゼントする “恩贈り” の取り組み)への参加にあたり、ベスト5に選んだ作品です!
実行委員会コメント
<実行委員会コメント>
日本読書療法学会を自ら設立した著者による、自分に合った本をどう選び、読めばいいのかがわかる作品。
2009年にイギリスのサセックス大学で行われた調査によれば
「音楽鑑賞や散歩、お茶やコーヒーを飲む、ビデオゲームで遊ぶといったさまざまなリラックス法のうち、もっとも効果的な方法が読書であることがわかりました。ストレスレベルを68パーセントも引き下げたのです」(p3-4)
とあり、読書の効果は実証されています。
この作品は、読書セラピーの理論や海外の事例などにも詳しく触れており、中高生向けに書かれた本ではありませんが、読者に対するスタンスはとてもやさしいものです。
著者のあたたかさが伝わってきます。
文章量はそれなりにありますので、後半の「第2部 読書セラピー《実践編》」だけ、あるいは最終章の「おすすめ本ブックガイド」だけでも目を通してみてはいかがでしょうか。
著者は「大切なのは、今の自分に合っているかどうか」(p48)と述べており、文学作品に限らず、絵本やマンガ、ハウツーものなどの実用書も含めて、幅広く素材として活かせることを教えてくれます。
父親の仕事の都合で、中学3年生まで国内外を転々とする生活を送った著者は、周囲になじめずいじめにあったり(日本)、コロンビアではゲリラによる日本人学校脅迫や自宅の狙撃などの経験もして、過酷な環境下で生活を送りました。
精神的に不安定になった著者は、夜中に起きて泣き叫んだりするようになり、精神安定剤を服用するようになったといいます。
耐え切れず、中学3年のときにひとり帰国して祖父母のもとで生活をスタートしても「どうして私ばっかりこんな目に遭わなきゃいけないんだろう」「私ばっかり損をしている」という思いが抜けなかったそうです。
大人になってからはうつ病に苦しめられた著者。
回復のきっかけは「読書セラピー」だったといいます。
苦しくてつらいとき、本に救いを求めてみてはいかがでしょうか。
精神的に疲れて文字が多いものが読めないときでも読める本も紹介されています。
インタビュー(外部リンク)
読書療法について、寺田真理子さんの生い立ちも含めて詳しくご紹介されている記事です
読書が私をメンタルダウンから救ってくれた。「読書療法」に学ぶ、心をラクにする7つのステップ(mentally.jp)
📣新しい記事が公開されました!
今回は、読書がうつ病からの回復に役立ったという、日本読書療法学会 会長の寺田 真理子さんにインタビュー!
「読書を通して心をラクにする方法とは?」をテーマに詳しくお話を伺いました✨https://t.co/tv79uR5SWi
— mentally_jp (@mentally__jp) August 17, 2022
プレスリリース
読書でうつが回復⁈イギリス政府も公認する新しい読書のかたち、「読書セラピー」とは?(株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン/2021年4月20日 08時00分)
著者 寺田真理子さまよりメッセージ
読書は仕事や勉強のためのもの、あるいは娯楽としか思われていないかもしれません。
けれども本には心を癒す大きな力があり、その効果は古代ギリシャの時代から認識されていました。
図書館の入り口に「魂の癒しの場所」と記されていたほどです。(中略)症状が重いときはなかなか活字を追えないものです。
そこでまずは文字数の少ないものやイラストを主体としたものから、自分の状態に合わせて読み進めていくことで、本は心強いサポーターになってくれます。
寺田さんは、メンタル本大賞の趣旨にご賛同いただき、選考委員としてノミネート作品の審査に携わっています。
これまでご寄稿いただきました書評はこちらよりご確認いただけます。
またプロフィール・メッセージでは、寺田さんの推奨作品をご覧いただけます。
ぜひお立ち寄りください。
書評
きょうさま(製薬会社 主任研究者)