【中高生向けセレクション2022】作品紹介
『ヒキコモリ漂流記 完全版』
ヒキコモリ漂流記 完全版 山田ルイ53世 著 KADOKAWA 2018年8月 |
【私のひきこもり経験】
神童からの転落。6年間ひきこもった髭男爵の山田ルイ53世さん。「ひきこもりの時間はムダだった。でもムダがあっていい」。「何度でも人生やり直したらいい」。ひきこもりが長引いてしまう人も少なくありません。体験談を教えてください。https://t.co/9P4vTcL7NQ pic.twitter.com/VJLKmwRDs6— NHKクローズアップ現代 公式 (@nhk_kurogen) August 3, 2018
この作品は、メンタル本大賞実行委員会が「ペイフォワード文庫」(大人が中高生に読んで欲しい本を書店を通じてプレゼントする “恩贈り” の取り組み)への参加にあたり、ベスト5に選んだ作品です!
実行委員会コメント
<実行委員会コメント>
紆余曲折を経て芸人となった著者のユーモアあふれる回想記。
小学校時代は児童会長を務め、バレンタインデーには女子からたくさんのチョコレートをもらったと明かしている著者は、学業だけでなく、運動も優秀。
サッカー部では入部初日にリフティングが百回以上できたと明かしている。
そんな著者はひょんなことから、中学受験を目指すことになる。
早起きして勉強してから学校に行き、放課後は部活のサッカーをやった後、塾に行く。
帰宅後も遅くまで勉強する。
平均睡眠時間が3時間ほどだったせいなのか、尿から蛋白が出て、過労と診断されるなど小学生にしては笑えない経験もする。
努力が実って、地元の名門中学に合格すると、自他ともに認める神童に!
しかし、とある事件を境にして境遇は一変。
引きこもり、二回目の中学三年生の途中で退学してしまう。
その後、中卒ながらも大検合格の末、国立大学に入学。
でも結局、大学も中退してしまい、芸人の道を歩む。
人生なかなかうまくいかず、つらいことも多いけれど、思わず笑ってしまうエピソードが満載なので、この作品を読んで少しでも肩の力を抜いて欲しい。
ハードな人生ながらも振り返ってみれば、「全ての経験が糧になった」と語られるストーリーが一般的かもしれないが、著者の場合は「取返しのつかないことが多すぎる」「あの6年は完全に無駄」と言い切る。
「無駄や失敗に塗れた日々を過ごす人間も少なくない。そんな人間が、ただ生きていても、責められることがない社会…… それこそが正常だと僕は思うのだ」
そう語る著者の言葉は、「自己肯定感」という言葉があふれている現代において清々しい。