Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
あなたの「しんどい」をほぐす本 Poche 著/もくもくちゃん イラスト KADOKAWA 2022年12月発売 |
書評
この本は、特に繊細な人や頑張りすぎてしまう人々に向けて書かれており、心を軽くするための考え方や方法が紹介されています。
主な内容
自分を責めないこと 自分の感情や思考を受け入れることで、心や体が疲れにくくなると述べています。
特に「ひとり反省会」を行うことが多い人には、自分が相手の気持ちを考えて一生懸命に話していた証拠であると認識することが大切です。
心や体の声を聴く やる気が出ないときは、その状態を受け入れることが大切です。
やる気は「やり始めると出てくるもの」であり、まずは小さなステップから始めることが推奨されています。
また、「何もしないこと」も重要で、休むことで心と体をリフレッシュさせることができるとしています。
自分を大切にする 自分自身を認め、「頑張ったね」と声をかけることで、自信を持つことができるようになります。
他人との関係性においても、自分の気持ちを大切にしながら接することが求められます。
具体的な方法論
本書では、心の疲れを和らげるための具体的な方法として、テーマごとに完結した内容が用意されており、どこからでも読み始められる構成になっています。
また、イラストとメッセージで視覚的にも癒される工夫がされています。
この本は、日常生活で感じる「しんどさ」を少しでも軽減するためのアイデアやメッセージが詰まっており、多くの読者から支持されています。
特に、自分自身に優しく接することの重要性が強調されており、心の健康を保つための実践的なガイドとなっています。
この本は、特に繊細な人や頑張りすぎてしまう人々に向けて、心の負担を軽くするための考え方や実践的な方法を提案しており、忙しくプレッシャーの多い日々を送る研究者にも大いに役立つ内容です。
製薬会社の研究者として、データの精査やプロジェクトの進捗に追われる中で、つい自分を責めてしまう瞬間は誰にでもあるものです。
しかし、この本が提唱する「自分を責めないこと」という姿勢は、そうした時に非常に心を軽くしてくれます。
特に印象的だったのは、「ひとり反省会」についての記述です。
日々の業務の中で「もっとこうすればよかった」と何度も考え込んでしまうことがありますが、これは自分が真剣に取り組んでいる証拠であり、それ自体を否定する必要はないと本書は述べています。
研究の世界では、失敗や思い通りにいかないことが頻繁にありますが、そのたびに自分を責めるのではなく、努力している自分を認めることが重要であると気づかされました。
また、「心や体の声を聴く」ことの大切さが強調されています。
やる気が出ないときに無理に奮い立たせるのではなく、その状態を一旦受け入れ、小さなステップから始めることが推奨されています。
製薬業界の研究者にとって、膨大な実験やデータ分析に集中し続けることは疲労を伴うものであり、心身の調子が優れないときには、「今日は少し休んでもいい」と自分に言い聞かせることがリフレッシュの一助になります。
本書が述べるように、「何もしないこと」も時には必要です。
休むことで新たな視点が生まれ、結果的に効率的な仕事に繋がることを理解させてくれる内容でした。
さらに、自分を大切にするための具体的な方法についても、シンプルで実践しやすいアドバイスが豊富です。
「頑張ったね」と自分に声をかけることの重要性が繰り返し強調されており、これが他人とのコミュニケーションにも良い影響を与えるとされています。
研究職では、他者と協力してプロジェクトを進めることが多いため、自分自身を大切にしつつ、他者にも思いやりを持って接することが必要不可欠です。
本書のメッセージは、まさにそのバランスを取るためのヒントとなります。
本書の魅力の一つは、テーマごとに完結しており、どこからでも読み始められる構成です。
忙しい日常の中で少しだけ時間が取れるときに、気になる章を開いて読めるため、研究者にとっても手軽に取り入れやすい工夫がされています。
また、イラストとメッセージによって視覚的にも癒される点は、心が疲れたときにふと手に取りたくなる要素です。
総じて、この本は、日常の「しんどさ」を少しでも軽減するための実践的なアイデアにあふれており、自分自身に優しく接することの大切さを再確認させてくれます。
特にストレスの多い職場環境で働く研究者にとって、心の健康を保つための頼れるガイドブックといえるでしょう。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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