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【書評】『こころのもやもやを脳のせいにしてラクになる方法』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

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Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

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こころのもやもやを脳のせいにしてラクになる方法
加藤俊徳 著
WAVE出版
2021年7月発売

書評

この本は、心の悩みや不安を脳の働きに基づいて解決する方法を提案しています。

本書の中心的なテーマは、悩みや不安が脳の「止まっている」状態から生じるという点です。
著者は、悩んでいるとき、脳はフル回転しているのではなく、むしろ思考が停滞していると指摘します。
このため、心理学や占いに頼るだけでは根本的な解決には至らないと述べています。

脳はその機能に応じて8つの「番地」に分けられ、それぞれが異なる役割を果たしています。
これらの番地は「思考」「運動」「聴覚」「視覚」「感情」「伝達」「理解」「記憶」とされており、個々の経験や生活スタイルによって発達具合が異なります。
このため、人それぞれに特有の悩みグセが形成されることになります。

本書では、具体的な悩み別に脳で何が起こっているかを解説し、それをどう動かすかについても触れています。

例えば、「いつも最悪のケースを考えてしまう」「仕事に自信がない」といった悩みについて、それぞれの脳番地がどのように関与しているかを分析し、実践的なアドバイスを提供しています。

また、著者は新しい習慣や経験によって脳は成長できると強調し、「生まれつきの性格だから変われない」とあきらめる必要はないと述べています。
20代以降でも新たな学びや経験を通じて、自分自身を変えることが可能であるというメッセージが込められています。

このように、『こころのもやもやを脳のせいにしてラクになる方法』は、心の問題を脳科学的視点からアプローチし、具体的な解決策を提示することで、多くの人々にとって有益な内容となっています。


『こころのもやもやを脳のせいにしてラクになる方法』は、心の悩みや不安を脳科学の視点から解決するための実践的なガイドです。

製薬会社の研究者として、日々の業務でデータ分析や仮説検証を行い、科学的なアプローチに基づいた解決策を求めることが求められる中、この本が提示する「悩みの原因を脳の働きから理解する」という視点は非常に興味深く、共感できる内容でした。

本書の中心的なテーマは、悩みや不安が「脳が止まっている」状態から生じるという点です。
一般的に、悩みがあるときは脳がフル回転しているように感じるかもしれませんが、著者はそれを「思考の停滞」と捉え、実際には脳がうまく機能していない状況だと指摘します。

このアプローチは、科学的データに基づいて現象を分析する製薬研究の方法論にも通じるものがあります。
たとえば、データがうまく処理できていない時、単に問題を見つけ出すだけでなく、システム全体の機能を見直す必要があるのと同様に、本書も「脳の働き全体を理解し、改善する」ことで問題の解決を目指しているのです。

さらに、本書では脳を8つの「番地」に分け、それぞれが異なる役割を果たしていると説明しています。
この「思考」「運動」「聴覚」「視覚」「感情」「伝達」「理解」「記憶」という分け方は、私たちの脳がどのように情報を処理し、反応を生成するかを具体的に示しています。
これにより、悩みの原因を分析し、それぞれの脳番地がどのように関与しているのかを理解することが可能になります。

例えば、「最悪のケースを考えてしまう」という悩みに対して、どの脳番地が過剰に活動しているのか、あるいは機能していないのかを把握することで、具体的な対策が見えてくるのです。

また、著者が強調する「脳は成長する」というメッセージも印象的でした。
製薬業界では、神経可塑性(脳の成長や適応能力)は研究対象として注目されており、新しい習慣や経験を取り入れることで、脳の機能を向上させることができるとされています。

本書でも、新たな学びや挑戦を通じて脳を活性化させ、心の悩みを乗り越える力をつけることが可能だと述べられており、この点が特に科学的で信頼感のあるアプローチだと感じました。

総じて、『こころのもやもやを脳のせいにしてラクになる方法』は、心の問題に悩む人々に対して、脳科学の視点から具体的で実践的な解決策を提示しています。
製薬会社の研究者として、データに基づいた解決策を見出すことが求められる職務の中で、本書のような科学的根拠に基づくアプローチは非常に参考になりました。

また、個々の脳の働きを理解し、必要に応じて鍛えることで、悩みや不安を解消する道筋を示している点が、本書の最大の魅力と言えるでしょう。

選考委員プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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こころの病気は誰にでも起こります。
不調やストレス症状が長く続いたり、日常生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関やカウンセラーに相談してください。

相談できるところはたくさんあります。
厚生労働省|みんなのメンタルヘルスには、相談窓口や医療機関についての情報が掲載されていますのでご参考ください。