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【書評】『要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

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Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

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要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑
F太、小鳥遊(共著)
サンクチュアリ出版
2020年4月発売

書評

本書は、仕事において自分の能力に自信を持てない人々に向けた実用的なガイドです。
この本は、著者たちの経験を基に、仕事を効率的に進めるための具体的な方法や考え方を提供しています。

本書の主なテーマは、自己評価の低さや要領の悪さに悩む人々が、どのようにして自信を持ち、仕事をスムーズに進めるかという点です。

著者たちは、自身も「要領がよくない」と感じていた過去を持ち、その経験から得た知恵を共有しています。
彼らは、「要領のよし悪しは周囲の評価によって変わる」とし、適切な「やり方」を学ぶことで苦手意識を克服できると主張しています。

具体的な内容としては、以下のポイントが挙げられます。

手順書の作成

仕事を進める際には、まず「手順書」を作成することが重要です。
タスクを細かく分解し、それぞれに担当者や締切を設定することで、視覚化され、落ち着いて取り組むことができます。

タスク管理

タスク管理ツールを活用することで、ストレスフリーな働き方が実現できます。
著者たちは、自身の経験から得たタスク管理のテクニックを紹介し、特にADHDなどの特性を持つ人々にも役立つ方法を提案しています。

優先順位付け

仕事が多すぎる場合には、優先順位をつけて取り組むことが必要です。
無理な依頼には勇気を持って断ることも大切であり、自分の限界を理解することが求められます。


製薬会社で研究に携わる立場として、私も業務の効率化には日々気を配っています。

研究は多くのタスクと期限に囲まれ、常に先を見通した計画と進行管理が必要です。
しかし、目の前の問題に忙殺されると計画が後手に回りがちであり、それが積み重なることで「自分には向いていないのでは」と感じる瞬間もあります。
こうした状況において本書が提案する「手順書の作成」や「タスク管理ツールの活用」は、特に役立つ方法です。

また、著者が強調する「優先順位付け」や「依頼を断る勇気」も、現代の職場では重要なテーマです。
研究の現場でも、すべての依頼やタスクを受けていたのでは、本質的な成果に向けた集中が難しくなります。

この「優先順位を明確にし、無理のある依頼は適切に断る」という姿勢は、自分の限界を理解し、無理をせずに目標達成へ向かうために欠かせません。
製薬業界は慎重な意思決定が求められる一方で、リソースの制約がある中で多様な業務を回す必要があるため、優先順位を意識することは、自己管理と同じくらい大切です。

この本は「会社に行くだけで精一杯」と感じている人々に寄り添い、ストレスを軽減しながらも効率的に仕事を進めるための実践的な方法を提供しています。
実際に著者たちが経験した苦労と成功体験に基づくアドバイスは、働く上で自己肯定感を育み、職場でのストレスを減らす大きな助けとなるでしょう。

選考委員プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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