Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
今日こそ自分を甘やかす 根本裕幸 著 大和書房 2021年12月発売 |
書評
この本は、特に自分に厳しすぎる人々に向けて書かれており、心の健康を保ちながら幸せな人生を歩むための方法を提案しています。
本書の主なテーマは「自分を甘やかすことの重要性」であり、著者は現代社会において多くの人が自分に対して過度に厳しくなりがちであると指摘しています。
その結果、心身の疲労やストレスが蓄積されることを警告し、自己肯定感を高めるためには自分自身に優しく接することが不可欠であると述べています。
具体的な内容としては、以下のようになっています。
自分に厳しいか甘いかの自己評価
読者が自分自身の心のクセを理解し、自分に対する態度を見直す手助けをします。
心のクセの理解
自分に厳しい人が持つ特有の思考パターンや行動様式について解説し、それがどのように日常生活に影響を与えるかを考察します。
甘やかすことが幸せへの近道
自分を甘やかすことが、実際にはより良い人生を送るための鍵であると強調しています。
著者は、「助けて」と言える勇気や、休むことの大切さについても触れています。
この本はシンプルで読みやすいスタイルで書かれており、会話するような感覚で進められるため、読書が苦手な人にも適しています。
自分自身への理解と優しさを促進することで、より充実した人生を送るためのガイドとなる一冊です。
研究の現場では、自分に対する高い期待や成果へのプレッシャーがあるため、「もっとできるはずだ」という気持ちに駆られがちです。
しかし、あまりにも高い理想を追い続けることが、疲弊や燃え尽きに繋がるリスクもあります。
特に、長期的にプロジェクトに携わる中で、定期的に自身を労わりリフレッシュする姿勢は、結果的により良い成果を生み出すためにも不可欠であると感じます。
本書はその点を、心の持ち方と日常的な実践法を通じて具体的に教えてくれます。
例えば「自分に厳しいか甘いかの自己評価」では、自分の心の癖や思考パターンを認識し、負担を軽減する方法を提案しています。
研究現場でもよく見られる「自分への厳しさ」は、確かに成長に役立つこともありますが、常に高いハードルを課すことが自己肯定感を低下させ、モチベーションにも悪影響を与える可能性があります。
本書は、自分の「できたこと」に目を向けて達成感を大事にすることで、ポジティブなフィードバックループを形成する大切さを説いています。
この点は、日々の業務の中で特に意識したいと思わされる内容です。
著者の優しい語り口やシンプルで分かりやすい説明が、まるで会話をしているような親しみやすさを感じさせ、本書は自分を見つめ直すための良いガイドとなるでしょう。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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