Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
精神科医が教える ストレスフリー超大全 樺沢紫苑 著 ダイヤモンド社 2020年7月発売 |
書評
この本は、現代社会における普遍的な悩みやストレスに対処するための具体的な方法を、科学的な根拠に基づいて解説してくれます。
本書は以下の主要テーマに分かれています。
人間関係
他人との付き合い方や自分を変える方法について学べます。
他人と自分を比較しない方法や、人の意見に流されないための対策、信頼できる人とそうでない人を見分ける方法などが紹介されています。
プライベート
孤独感やSNS疲れ、親子関係や夫婦関係の改善方法について触れています。
特に、大人になってから友達を作る方法や、介護の心配を軽減するためのアドバイスが含まれています。
仕事
仕事におけるストレスや不満を解消するための手法が提案されています。
職場の人間関係を改善する方法や、自分の「天職」を見つけるためのステップが詳述されています。
健康
健康管理に関する章では、睡眠不足や運動不足への対処法、健康的な食事法について説明されています。
特に、理想的な運動習慣や食事法が強調されています。
メンタル
自己肯定感を高めたり、怒りをコントロールしたりする方法が紹介されています。
また、うつ病や発達障害への対処法についても言及されています。
本書は、ストレスフリーな生活を送るための「今すぐできるToDoリスト」を提供し、読者が実生活で実践できる具体的なアクションプランを示しています。
著者は、自身の臨床経験を基にした現実的なアドバイスを通じて、読者がストレスと上手に付き合いながら生きていくためのスキルを身につけられるよう導いています。
製薬会社の研究者として、ストレスが心身に及ぼす影響をさまざまな角度から検証している本書はとても興味深いです。
睡眠不足や運動不足、健康的な食事は、ストレスが引き金となるこれらの疾患予防の観点からも非常に有用です。
科学的知見に基づきながらも、専門知識を必要としない実践的な内容が、研究者や一般の読者にとっても共感を呼びます。
また、「怒りのコントロール」や「自己肯定感を高める方法」についての記述には大きく頷ける部分がありました。
ストレスにより誘発されるコルチゾール(ストレスホルモン)の過剰分泌は、長期的にはうつ病や不安障害のリスクを高めることが知られています。
本書が示す自己管理法は、こうした負のスパイラルを防ぐ一助となり得るものです。
私自身、研究開発の過程でのプレッシャーに追われる中で、これらの技術を取り入れることの重要性を再認識しました。
さらに「人間関係を改善する方法」は、高い専門性を求められる職業においても実践できる内容です。
研究者はしばしば孤立しがちであり、他部門とのコラボレーションやプロジェクトの推進においても円滑な人間関係が欠かせません。
本書のアドバイスは、研究チームのリーダーシップや対人スキル向上にも活用できると感じました。
本書は製薬研究者としての視点からも、心身の健康を包括的に捉えるための優れたガイドブックと言えます。
ストレスと向き合う日々の中で、科学的な知見を実生活に取り入れる実践的なヒントが満載の一冊として強くおすすめします。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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