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【書評】『ちょっとのコツでうまくいく! 躁うつの波と付き合いながら働く方法』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

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Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

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ちょっとのコツでうまくいく! 躁うつの波と付き合いながら働く方法
松浦秀俊 著/高江洲義和 監修
秀和システム
2024年9月発売

書評

本書は著者自身の体験に基づいており、双極症を発症してから13年間、気分を安定させながら働いてきた経験をもとにしています。
主なテーマは、双極症を持ちながらも充実した職業生活を送るための方法論であり、以下のような具体的な戦略を提案してくれます。

躁状態とうまく付き合う方法

躁状態に入る前に「攻めの有給」を取ることや、イライラした際には「コミュコスト」を上げて過激な刺激を避けることが推奨されています。
これにより、躁状態に陥るリスクを減少できます。

うつ状態への対処法

うつ状態になった際には、自分自身を守るためのセルフケアや周囲からのサポートを求めることが重要です。
著者は、ネガティブな感情が強くなった時にはAIなど外部の助けを借りることも一つの手段として挙げています。

症状の予兆を見つける

自身の気分の波を理解し、躁・うつ状態になる前兆を把握することで、早期に対策を講じることが可能になります。

双極トリセツ作成

自分自身の症状や対処法を書き留めた「双極トリセツ」を作成することで、周囲にも自分の状態を理解してもらいやすくなります。

本書は、双極症に関する専門的知識と著者自身の体験談が融合しており、読者にとって非常に実用的な内容となっています。
また、特典として「働く中での躁うつ症状と対処法152」や「双極トリセツワークシート」が付いており、実際に活用できる情報が豊富な点も魅力です。


製薬会社の研究者として、日々の職務には高い集中力と適応力が求められます。
双極症のような精神疾患を抱える中で働き続けることの難しさと、それを克服する実践的な手法を描いた本書は、個人としても研究者としても多くの示唆を与えてくれる一冊でした。

著者の提案する「攻めの有給」や「コミュコストを上げる」戦略は、予防的アプローチとして非常に有効です。
躁状態やうつ状態が仕事に与える影響を最小化するために、自らの状態を的確に把握し、柔軟に対策を講じる姿勢は、研究の進行管理やチームでの協力においても参考になるものです。
特に、精神的な不調の初期サインに気付く重要性は、ストレスの多い研究環境において心身のバランスを保つために欠かせません。

また、双極症に関する医学的知識と著者自身の体験が織り交ぜられており、科学的根拠と共感的視点がバランス良く提供されています。
製薬研究者として、新薬開発の際には患者視点を取り入れることが不可欠です。
この本は、双極症を抱える人々が直面する現実を深く理解する助けとなり、製薬の現場でも活かせる学びを与えてくれます。

総じて本書は、精神疾患に対する偏見をなくし職場環境を改善するための実践的なアイデアが満載であり、研究者として働く中で得られる多くの示唆が詰まっています。
自身や同僚、または家族が同様の課題を抱える場合にも、ぜひ手に取ってほしい一冊です。

評者プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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