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【書評】『セルフケアの道具箱』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

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Twitterなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信しているきょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

メンタル本大賞®2022 ノミネート作品

セルフケアの道具箱
伊藤絵美 著/細川貂々 イラスト
晶文社
2020年7月発売

書評

ところで、クライアントが「回復する」ってどういうことでしょうか?
何をもってクライアントが「回復した」と言えるのでしょうか?

思うに、それは「セルフケア」が上手になることです。
セルフケアとは、「自分で自分を上手に助ける」ということです。

出典:『セルフケアの道具箱』伊藤絵美 著、細川貂々 イラスト/晶文社(p5-6)

皆さんは「アダルトチルドレン(AC)」という言葉をご存知でしょうか?

1970年代にアメリカで提唱された概念で、子どものころに家庭内トラウマ(心的外傷)によって傷つき、その傷が癒えないままおとなになった人たちを指します。
ACは病名や診断名ではなく、「対人関係の問題」や「生きづらさ」に悩んでいる状態を示すことばです。

私自身、過去の家庭環境が原因でなんとなく生きにくさを感じていた時期がありました。

モヤモヤの原因を知りたい。
そんな思いで心理学を0から学び始めたとき、このACの概念と出会いました。
調べるうちに今までの心の引っ掛かりが少しずつとれて、楽になったことを覚えています。

そんな私がACの方におすすめしたいのが、今回紹介する伊藤絵美先生の書籍『セルフケアの道具箱』です。

伊藤絵美先生は、認知行動療法やスキーマ療法を専門とされている先生で、アダルトチルドレンや生きにくさの改善に関する書籍を多数出版されています。
私自身もこれまで多くの本を拝読しました。

私が本書をアダルトチルドレンの方におすすめしたい理由は、以下の3つです。

① 圧倒的に分かりやすい

こころを楽にする具体的なワークが難しい専門用語を使わない分かりやすい文章と、やさしいイラストで書かれています。

心が疲れている人や生きづらさに悩む方は難しい文章を読むことが困難であると思います。

本書はそういった方に向けて漫画家でありイラストレーターでもある細川貂々さんが1ワークごとに誰でもイメージしやすい絵をつけてくれています。

まさに、弱っている方がめくるだけでもセルフケアの概念が入ってくるのです。

② 自分の中の生きにくさの正体がわかる

本書のワークを順番に進めていくことでストレスへの気づき方、ストレスケア、過去の生きづらさへの対処法が自然に実践できます。

一通り読み終わるうちにどうして自分がストレスを抱えているのか、悩んでいるのかが客観的に理解できるのです。

普段仕事のストレスや対人関係の悩みを抱えている方にもぜひおすすめです。

③ 考え方が変わる

本書ではセルフケアの大切さについて詳細に解説されています。

セルフケアとは「自分で自分を上手に助ける技術を身に着ける」こと。

私は本書の2章のワークを実践するうちに「誰かに相談したり、力を借りること」も大切なセルフケアの一つなのだと大きな気づきを頂きました。

そして、SNSを活用することも実はセルフケアになりえることも分かりました。

過去の自分と同じ悩みを抱えた人に経験を共有する。
苦しい時に支えあったり相談できる仲間を見つける...。

孤独にならないためのサポートネットワークを増やすことにつながるんですね。

最後に

このような気づきが得られる本書は、今抱えている生きづらさを根っこから変えてくれるとても素敵な本だと思います。

ぜひ、あなたやあなたの周りの方が過去の生きづらさに悩んでいるとしたら、本書を手にとって実践してみてください。

評者プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Twitterでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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