昨年、選考委員としてご協力いただいた川本義巳さま(公認心理師&メンタルコーチ)より、2022ノミネート作品の書評をお届けします!
「会社行きたくない」気持ちがゆるゆるほどける本 加藤隆行 著 小学館クリエイティブ 2021年4月発売 |
書評
メンタル本大賞2022エントリー作品の紹介です。
今回は『「会社行きたくない」気持ちがゆるゆるほどける本』です。
加藤隆行さん著で小学館さんから出ています。
この本の感想をひとことであらわすと
「自己肯定感と自己否定感」
です。
まずこの本には4人の登場人物が出てきます。
会社員の男性2名、女性1名、そしてカウンセラーの加藤さんです。
この4人の会話形式からスタートします。
そこでは、「会社に行きたくない男女2人」に、加藤さんがアドバイスをするシーンがあるのですが、印象的なキーワードが2つ登場します。
ひとつが自己肯定感で、もうひとつが自己否定。
自己肯定感はよく聞きますが、自己否定についてはあまり深く考えたことがなかったな思いました。
この本によると自己否定にも種類があって、
- 「~してはいけない」「~するべき」という自分に対する禁止・制限
- 他人と比較をする劣等感
- 自分に厳しくする完璧主義
- 自分を責める罪悪感
自己肯定できない代わりに、こういうことが「無意識のうちに」起こっているそうです。
なんかこの辺って、頭では当たり前のことのように理解しているつもりになりがちですが、自己肯定できないかわりのものだったんですね!
更に怖いことに自己否定をしていると、他人からの否定に弱く、自分を防御しようとします。
そして防御の方法も「悲観的」と「攻撃的」があって、悲観的は「自分はダメなんです」という態度を取るやり方で、攻撃的は逆に「キレる」方向の態度を取るやり方。
どちらも「これ以上攻撃するなよ」という意思表示なんですね、これが。
そういえば僕も昔、自己否定が強かった時期があって、そのときに友人から「お前ネガティブだねー」と言われて、カッとなったことがあったっけ。
こういったことがあるとやっぱり人間関係もうまくいかないから、「会社行きたくない」になっちゃうんだよねえ。
「じゃあ自己否定をやめて、自己肯定感を持つにはどうしたらいいの?」
なんですけど、ちゃんとアンサーも用意されています。
60のパターンに分けて、解説してくれているのですが、これがすごく具体的。
- 大きな仕事を任されたけどプレッシャーで潰れそうです[ケース06]
- 仕事と家庭の両立が大変でうまくいきません[ケース11]
- 新人スタッフがすぐに辞めてしまい困っています[ケース19]
- 常に不機嫌で威圧的な上司 これってパワハラでは!?[ケース23]
- やたらと忙しい上司に話しかけられません[ケース30]
こんな感じで、きっと誰もが経験しているであろうことが書かれています。
ちょっと仕事や会社に疲れちゃった人にオススメの一冊です。
評者プロフィール
メンタル本大賞2021 選考委員
川本義巳(かわもと・よしみ)
三重県松阪市生まれ津市在住。
うつ専門メンタルコーチ/公認心理師/一般社団法人エフェクティブコーチング協会代表理事。高校卒業後、SEとして20年以上メーカーに勤務。大手IT企業への転職を機にうつ病を発症、寝たきり状態になり、1年2か月の休職を余儀なくされる。2007年コーチングに出合い、うつ病を完全克服。それを機にうつ専門のプロコーチになることを決意。コーチング、NLP、アドラー心理学、エリクソン催眠を学び、それらを応用したメソッドを開発し、2010年個人コーチングを開始。自治体や上場企業でのメンタルヘルス研修講師や精神科クリニック、児童相談所、教育委員会での相談業務等でも経験を積み、10年間で1万件以上の相談、指導を行っている。
1日3分でうつをやめる。 川本義巳 著 扶桑社 2019年10月発売 |