Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
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しんどい心にさようなら 生きやすくなる55の考え方 きい 著/ゆうきゆう 監修 KADOKAWA 2020年3月発売 |
書評
この本は心の健康や生きやすさをテーマにしており、特に生きづらさを感じている人々に向けて心の負担を軽減するための具体的な考え方やアプローチを提供しています。
本書の主な内容は以下の通りです。
生きづらさの原因
イライラしやすい人や気を使いすぎる人、自分を責める傾向がある人など、さまざまな生きづらさの原因を探ります。
これらの感情が考え方のクセから来ていることを指摘し、読者が自分自身を理解する手助けをします。
考え方の変革
55の具体的な考え方が提案されており、それぞれがどのように心の負担を軽減するかについて詳しく説明されています。
例えば、「完璧主義がしんどい」「他人が気になってしんどい」といったテーマが取り上げられ、それに対する具体的な対策や思考法が示されています。
自己受容と価値観
「あなたはそのままでいい」というメッセージを強調し、自分自身を受け入れることができれば、生きづらさは軽減されるという考え方が根底にあります。
自己価値を再確認し、自分自身を大切にすることの重要性を説いています。
実践的なアドバイス
各章には実践的なアドバイスやエクササイズが含まれており、読者が日常生活で実際に試すことができる内容になっています。
これにより、理論だけでなく実践的なスキルも身につけることができます。
本書は、特に心の健康に関心がある人々や、日常生活でストレスや不安を感じている人々にとって有益なリソースとなるでしょう。
著者たちの経験と専門知識に基づいた内容は、多くの読者に共感され支持されています。
ストレスや心の健康についての知識は、自身の研究やチームの健康維持にも大きく役立つと感じています。
製薬研究者は特に高い専門性と責任が求められ、日々の業務の中でプレッシャーや完璧を求められる場面が多々あります。
本書が提案する「完璧主義からの解放」や「他人との比較から距離を置く考え方」は、こうした業務環境の中で重要なストレス管理の方法と捉えられます。
日々の中で少しずつでも実践し、思考の変化を試みることで、長期的には効率やパフォーマンスの向上にもつながると思いました。
本書で紹介される「自己受容」や「あなたはそのままでいい」というメッセージも、多忙な業務をこなす中で、自己評価の高まりや自己肯定感を育むために大変有用です。
研究という不確実性の多い業務では、努力が必ずしも成果に直結しないことが多いため、自己評価のバランスを取ることが求められます。
結果だけに固執するのではなく過程や自分の価値を大切にすることは、精神的な安定と前向きな姿勢を保つ上での大きな助けとなるでしょう。
55の具体的な考え方が多岐にわたっている点も魅力です。
たとえば「他人が気になってしんどい」や「自分を責める傾向が強い」など日常的な心の反応やパターンに対応した内容が豊富に用意されており、それぞれに対する対策も明確です。
読者は自分に当てはまるテーマをピックアップして取り入れやすく、また各章に用意されたエクササイズを通じて、理論を実践的に生活に応用できる点も良いところです。
本書は心の健康を支える有益なリソースです。
実践的な方法を試しながら、自分の考え方を見直し、心の負担を減らしていくためのガイドとして手元に置きたい一冊だと感じました。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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