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【書評】『「自己肯定感低めの人」のための本』(評者:實山美穂/元書店員)

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書店員キャリア20年。2023年に閉店した文信堂書店 長岡店では文芸書・ビジネス書を担当。小学館の小説ポータルサイト「小説丸」のコラムにも寄稿経験がある 實山美穂さま(元書店員) より書評をお届けします。

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「自己肯定感低めの人」のための本
山根洋士 著
アスコム
2020年9月

書評

タイトルにある「自己肯定感」という言葉を聞いたことありますか?

私個人の感覚では、よく言われるようになったと思います。
それこそ、私の学生時代には聞いたことがありませんでした。
勉強不足、と言われてしまうとそうなんですが。

使い方としては、例えば、「あの人は自己肯定感が低い」とかそういう言い方ですね。
でも、その「自己肯定感」を説明しようと思っても、うまい言葉で表現できません。
言葉から連想する、何となくのイメージしかありません。
自分だったら?と考えても、低いとは思わないけど、高いわけでもないような…

一般的に自己肯定感は高い方がいい、というような風潮がある気がします。
そういう内容の書籍も、実際に目にする機会が多いです。
そのせいか、自己肯定感が低いのは悪いことなのか、疑問に思いました。
みんながみんな、自己肯定感が高かったら、なんだか生きにくそうです。
ところがこの本は、自己肯定感が低くても大丈夫と教えてくれます。

類書がほとんど無さそうな珍しい本です。
自己肯定感が低いとは自分で思っていない私も、読んでいると共感を覚えました。

本の中で、モヤモヤする原因を、無意識の心のクセ=メンタルノイズと表現して説明してくれます。
その説明を読んで、私は思ったことがありました。
もしかしたら、私の自己肯定感は元々低かったけど、生きていくために、ノイズに邪魔されない考え方を、生活に取り入れたのではないだろうか、ということです。

本の中で書かれているようなことを、無意識に実行してきたのかもしれません。
それに気がつけただけでも、この本は面白いと思いました。
そうすると、人が読まずにいるのはもったいないと思ってしまうので、すすめたくなります。

自分には無関係だ、とは思わずに、多くの人に読んでほしいです。
そう、自己肯定感という概念を知らなくても、手にとってほしいです。
読んでみた人だけが気づくものが、そこにはあるはずです。

評者プロフィール


實山美穂(じつやま・みほ)
大学で心理学などを専攻し、卒業後、文信堂書店に入社。文芸書・ビジネス書他担当。文芸書担当を機に本屋大賞エントリー店となり、新書担当を機に新書大賞の投票に参加し、興味の赴くまま御書印プロジェクトにも参加。基本、本を読んで猫と遊んでいれば満足。2023年4月10日をもって、文信堂書店長岡店がCoCoLo長岡より撤退。それにあわせて文信堂書店を退社し、今に至る。小説丸の、書店員さんのコラムに参加。

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