きょう PR

【書評】『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

作品紹介・書評・表彰レポートはこちら

「自分の感情」の整えかた・切り替えかた
高井祐子 著
大和出版
2022年5月発売

書評

この本は、認知行動療法と生活臨床を基にしたセルフケアの方法を紹介し、感情のコントロールやストレス管理に役立つ内容が盛り込まれています。

主なポイント

感情の理解と受容

感情の浮き沈みが激しいときには、自分自身のライフサイクルを振り返ることが推奨されています。
これにより、感情の根本的な原因を理解し、受け入れることができるようになります。

具体的なセルフケア技法

人づきあいに悩んだときには嫌いな人の幸せを願うことや、不安や焦りに囚われたときには「本当にそうだろうか」と自問することが提案されています。
これらは、思考を柔軟にし、感情を切り替える助けとなります。

身体と心の連動

心だけでなく身体もケアすることが重要です。
例えば、イライラしたときには特定の食事(ハムチーズトースト)を摂ることや、前向きになれないときには太陽光を浴びることが効果的です。
これにより、心身ともに健康を保つことができます。

ワーク形式での実践

本書は見開きで完結するワーク形式になっており、読者が気軽に実践できるよう工夫されています。
各章はテーマごとに分かれており、自分に必要な部分から取り組むことが可能です。

メンタルヘルスへのアプローチ

著者は、「メンタルを強くする」ことではなく、「落ち込んでもすぐに立て直す力」を養うことを目指しています。
この視点は、多くの人々が抱える日常的なストレスや不安に対処するための有効な手段となります。
このように、『「自分の感情」の整えかた・切り替えかた』は、心の健康を維持するための実践的で具体的な方法を提供しており、多くの人々にとって役立つ内容となっています。


この本は、認知行動療法と生活臨床の手法を取り入れたセルフケアの方法を紹介しており、特に感情のコントロールやストレス管理に悩む人にとって有用な内容です。

製薬会社の研究者として、日々の業務においてデータ解析や実験の進捗管理など、常に集中を要する場面が多くあります。
その中で生じる不安やストレスをどうコントロールするかは、パフォーマンスを維持するために重要な課題です。
本書の提案する方法は、そうした日常のストレスに対処するための具体的な指針となるものでした。

本書の最初のポイントとして挙げられている「感情の理解と受容」は、研究者にとって非常に共感できる内容です。
日々の業務で予期しない結果が出たときや、プロジェクトが思うように進まないときに、感情の浮き沈みが激しくなることは誰にでもあります。
その際に、ライフサイクルを振り返り、自分がどのような状況で感情が乱れるのかを理解することは、自身のメンタルケアに役立ちます。
感情の原因を見つけ、受け入れることで、次の行動に向けて冷静に対処できるようになると感じました。

また、具体的なセルフケア技法が多数紹介されている点も魅力的です。
例えば、人づきあいの中で生じるネガティブな感情に対して、嫌いな人の幸せを願うというアプローチは、視点を変えることで感情の切り替えができることを教えてくれます。
研究の場でも、チームでのコミュニケーションが不可欠であり、時には対立する意見に直面することもありますが、相手を尊重しながら気持ちを切り替える術を知っておくことで、建設的な関係を築く手助けとなります。

また、不安や焦りに囚われたときに「本当にそうだろうか」と自問する技法も、データに基づいた論理的思考を求められる研究者にとって親しみやすいアプローチであり、自分の感情を俯瞰して見るための助けになるでしょう。

さらに、身体と心の連動に関する提案も実践的です。
例えば、イライラしたときに特定の食事を摂ることや、太陽光を浴びることの効果が紹介されています。
製薬業界の研究者は、長時間にわたる実験や分析に没頭することが多く、身体のケアが疎かになりがちです。
心と体のバランスを取るために、食事や適度な運動、自然とのふれあいを取り入れることで、心身の健康を維持することの重要性を再認識しました。

本書のもう一つの大きな特徴は、ワーク形式での実践が可能な点です。
見開きで完結するため、忙しい日々の中でも短い時間で実践できる構成になっており、研究者にとっても取り組みやすいのが嬉しいポイントです。
各章がテーマごとに分かれているため、自分が気になる部分から読み進められる柔軟性もあります。

総じて、本書は「メンタルを強くする」というよりも、「落ち込んでもすぐに立て直す力」を育てることを重視しており、その視点が日常的なストレス管理に非常に有効だと感じました。
感情の理解とセルフケアの技法が、ストレスの多い環境で働く製薬業界の研究者にとっても心の安定をもたらしてくれる一冊です。

選考委員プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

公式サイト・SNS
X(@kyoshirok1)
公式LINE

きょうさまからのメンタル本大賞®へのメッセージ・推薦作品はこちら
(書評一覧はこちら

このページがお役に立ちましたら
上のハートマークを押してください。
当サイトは、日常生活において「しんどい」「生きづらい」と感じている方向けに【心が楽になる】書籍のご紹介を目指しておりますが、お読みになる方の悩みや状況の改善をお約束するものではございません。ご自身の責任においてご利用ください。
プライバシーポリシー・免責事項

こころの病気は誰にでも起こります。
不調やストレス症状が長く続いたり、日常生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関やカウンセラーに相談してください。

相談できるところはたくさんあります。
厚生労働省|みんなのメンタルヘルスには、相談窓口や医療機関についての情報が掲載されていますのでご参考ください。