Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。 Jam 著/名越康文 監修 サンクチュアリ出版 2018年7月発売 |
この本は、日常生活におけるさまざまな悩みやストレスを解消するためのヒントを提供しています。
特にSNSや人間関係におけるストレスを軽減する方法に焦点を当てています。
タイトルは、友人が著者にかけた言葉から来ており、他人の言動に悩むことが無意味であることを示唆しています。
つまり、嫌なことを言った相手は、自分のことを気にせず楽しんでいる可能性が高いという考え方です。
この視点は、読者が自分の感情を整理し、他人の意見に振り回されないようにするための重要なポイントとなっています。
主な内容
SNSのモヤモヤ
SNSでは他人の幸せそうな投稿を見て嫉妬したり、自分と比べて落ち込んだりすることがあります。
本書では、「SNSで見えるのは一番キレイな部分」であり、その裏には多くの努力や苦労があることを理解することで、自分自身の幸せに目を向けることが大切だと説いています。
人間関係の悩み
他人からの何気ない言葉に傷つくことは多いですが、その相手も自分を気にせず日常生活を楽しんでいる可能性が高いです。
この考え方を持つことで、無駄なモヤモヤから解放されることができます。
自己肯定感の向上
他人と比べることなく、自分自身と向き合うことが重要です。
過去の自分と比較し、一歩ずつ成長していることを実感することで、自己肯定感を高める方法も提案されています。
ストレス管理
ストレスや悩みを抱えた時には、「今ごろパフェとか食ってる」と自分に言い聞かせることで心を軽くするテクニックも紹介されています。
これは、他人の言動に振り回されず、自分自身の心の平穏を保つための有効な方法です。
この本は、特にSNSや人間関係で悩む現代人に向けて書かれており、シンプルで実践的なアドバイスが詰まっています。
読者は、日常生活で直面するさまざまなモヤモヤを軽減し、自分自身を大切にする考え方を学ぶことができるでしょう。
この本が示す「他人の言動に振り回されない」という考え方は、忙しい研究者にとっても心に響く内容だと感じました。
本書の特徴は、SNSでの比較によるストレスや、人間関係の摩擦に対するシンプルな視点の提供です。
SNSでは、他人の「一番輝いている瞬間」が見えがちであり、それに自分を重ねて落ち込むことは誰しも経験するものです。
しかし、著者はその裏側にある努力や苦労に目を向けるように促し、自分のペースで幸せを追求する大切さを説いています。
製薬の研究開発のように長期的な成果を追い求める仕事では、特にこの考え方が有効です。
途中で他人と比べて焦るよりも、自分の進歩を見つめることでモチベーションを維持することができます。
また、日々のストレス管理についてのアドバイスも非常に実践的です。
著者が提案する「今ごろパフェとか食ってる」というフレーズは、他人の些細な言動に心を乱されそうなときに、相手は自分のことをほとんど気にしていないかもしれないと考えることで、心を軽くする方法です。
これは、他者評価に対する感情のコントロールを助け、研究者としての冷静な判断力を保つのに役立つと感じました。
実験結果がうまくいかないときや、プロジェクトのプレッシャーに押しつぶされそうなときに、こうした心の切り替えはとても有効です。
本書のもう一つの強みは、自己肯定感の向上方法がシンプルかつ実行しやすい形で示されている点です。
自分の進捗や成果を他人と比較するのではなく、過去の自分と比較し、一歩ずつ成長していることを意識する方法は、キャリアを積み重ねる研究者にとっても大切な視点です。
日々の小さな進展や発見を積み重ね、それを認めることが、自信と次への原動力になります。
『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』は、複雑なメンタルヘルス理論を用いず、誰もが実践できる考え方をシンプルに伝えています。
研究現場で感じる日々のプレッシャーや周囲との関係に悩む方にとっても、自分自身を守るためのヒントが満載の一冊です。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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