Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
「自己肯定感低めの人」のための本 山根洋士 著 アスコム 2020年9月 |
書評
この本は、心の中に潜む「ノイズ」を理解し、それを克服する方法を提供しています。
まず、自己肯定感が低いと他人の評価を気にしたり、自分に自信が持てなかったりすることが多く、日常生活においてさまざまな悩みを引き起こします。
著者は、これらの悩みを解消するためには、自分自身の心のクセや思考パターンを理解することが重要だと述べています。
本書の中心的なテーマは「ノイズ」という概念です。
ノイズとは、過去の経験や社会的な常識から生じる無意識的な思い込みや偏見であり、これが自己肯定感を低下させる要因となります。
著者は、心のノイズを特定し、それに対処するための具体的なエクササイズやメソッドを紹介しています。
例えば、「ダメ出しノイズ」や「完璧主義ノイズ」など、14種類のノイズタイプを挙げ、それぞれに対する対策を提案しています。
また、「ノイキャン体質」を作るための1分エクササイズも含まれています。
これらのエクササイズは、日常生活で簡単に実践できるものであり、心の免疫力を高めることを目的としています。
具体的には、「STOPリスト」や「インナーチャウチャウ犬」、「絶好調ラベル」など、多様な方法が紹介されています。
さらに、自己肯定感が低い人は、自分の才能や強みに気づきにくい傾向があります。
著者は、どんな人にも必ず秀でた才能があるとし、それを見つけるためにはまず自分自身を受け入れることが重要だと述べています。
才能は特別なものではなく、自分が自然にできること、つまり他人には難しいと感じられることを指します。
最後に、著者は実際の成功事例も紹介しており、自己肯定感が低い状態から自分の才能に気づき、大きな成果を上げた人々のストーリーを通じて読者に希望と実践的なヒントを与えています。
このように、本書は自己肯定感を高めたいと願う人々に向けて、実用的かつ励ましとなる内容で構成されています。
『「自己肯定感低めの人」のための本』は、自己肯定感を向上させるための具体的な方法を提供する実践的な一冊です。
製薬会社の研究者として、日々の研究やプロジェクトに取り組む中で、多くのストレスやプレッシャーを感じることがあります。
特に、研究結果が期待通りに進まなかったり、周囲の評価が気になったりする場面では、自己肯定感が大きく揺らぐこともあります。
本書が提案する「ノイズ」という概念は、まさにこうした心理的負担を生み出す無意識の思い込みや偏見を指しており、研究者にとっても非常に共感できる内容でした。
本書では、「ダメ出しノイズ」や「完璧主義ノイズ」など、自己肯定感を低下させる14種類のノイズが紹介されています。
これらは、日々の実験やデータ解析の中でよく感じる「もっと良い結果を出さなければ」「完璧な計画を立てなければ」という思考に似ており、これが自分を追い詰めてしまう原因となることもあります。
しかし、著者はこれらのノイズを特定し、対処するための具体的なエクササイズやメソッドを提案しています。
「STOPリスト」や「インナーチャウチャウ犬」といったユニークな名称の方法は、一見すると遊び心があるようですが、実際には簡単で実行しやすいものばかりで、研究者のような忙しい日常にも取り入れやすい点が魅力です。
また、本書で強調されている「ノイキャン体質」を作るための1分エクササイズは、まさに忙しい業務の合間に心のメンテナンスを行うのに役立つものです。
データを分析する間のちょっとした休憩や、会議前の緊張を和らげる時間に、この短いエクササイズを取り入れることで、心のリフレッシュが図れるのは大きなメリットだと感じました。
さらに、著者が語る「自分の才能に気づく」というメッセージも印象的でした。
自己肯定感が低いと、自分の強みを見失いがちですが、本書では「才能は特別なものではなく、他人には難しいと感じられることを自然にできること」と定義しています。
この考え方は、研究や開発の分野でも非常に有効です。自分が当たり前にできる技術や知識が、実はプロジェクトにとって大きな価値を持つ可能性を再認識させてくれるからです。
実際の成功事例も多く紹介されており、自己肯定感が低い状態から自分の才能に気づき、成果を上げた人々のストーリーは非常に励まされる内容でした。
研究開発の現場では、長期間にわたるプロジェクトが多く、成果が出るまで時間がかかることも少なくありません。
本書を通じて、自分の価値を見直し、自己肯定感を保ちながら日々の業務に取り組むヒントを得られるでしょう。
『「自己肯定感低めの人」のための本』は、自己肯定感に悩む方々にとって、具体的かつ実用的なアドバイスが詰まった一冊です。
忙しい日々の中でも、自分を見失わずに前向きに生きるための道しるべとして、多くの人々にとって役立つ内容となっています。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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