きょう

【書評】『発達障害サバイバルガイド』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

Twitterなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信しているきょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

発達障害サバイバルガイド
借金玉 著
ダイヤモンド社
2020年7月発売

メンタル本大賞2022 エントリー作品

書評

今のところ、発達障害を「治す」のはあまり現実的ではありません。となれば、障害を抱えたまま人生をうまくやっていくためのノウハウをつくりだしていく以外に、結局のところ選べる道はないのです。

出典:『発達障害サバイバルガイド』借金玉 著/ダイヤモンド社(p6)

メンタル本大賞選考委員のきょうです。
今回は、『発達障害サバイバルガイド』の書評をしたいと思います。

サバイバルという言葉を聞いてどんな本を思い浮かべますでしょうか。

ぎりぎりの状況で生き延びるハードな内容が書かれているイメージをもちがちですが、そうではありません。

出来るだけ頑張らずに、よりラクに、より快適に、より優雅に生きられる環境を作っていこうという考えが本書には詰まっています。

本書籍の著者である借金玉さんは、ADHDなどの発達障害を抱えながら、現在は不動産営業とライター・作家業を営まれており、SNSでも大変有名な方です。
著者の体験談と深い想いから書かれた本書籍は、生きていくうえで大切な事や学ぶことがたくさんありました。

私がおすすめしたい理由は、以下の2つです。

1.発達障害の人でなくても知っておきたいライフハック術が豊富

環境・活動・休息の3つについて、優先すべき事項がバランスよく書かれた書籍だと感じました。
この書籍は発達障害を抱えた向けに書かれていますが、そうでない方にとっても金言の詰まった一冊です。

具体的には

  • 生きるために絶対必須な生活環境の整え方
  • 貧困と借金の経験から学んだお金の考え方
  • 繰り返しが苦手な人の習慣化の方法
  • だらだらに打ち勝つための自宅作業の仕方
  • おしゃれ以前に整えるべき服装の考え方
  • ずぼらな人でもできる自炊の方法
  • 人生をゆたかに生きるための休み方
  • うつ病の不安とともに生きるための術

が分かりやすく構成されています。

とくに、メンタル系の書籍であまり重要視されないお金に対する考え方や、うつ病という自分が動けなくなってしまう状態から再起するための考え方は「健康な状態のいまだからこそ」知っておいてほしい内容ばかりです。

2.生活に投資することの重要性を学べる。

私は物欲があまりなく、どちらかというとミニマリストです。金銭の出費が少ないので自分ではよい習慣なのかと思っていました。

しかし本書には、あまりに必要な物まで持たないことは非合理的であり、苦しい現状から抜け出せない原因にもなりえることが書かれています。

「暮らしに投資する」という考えは人生の時間を大切にするためにとっても重要なのです。

  • 少ない収入でもそれなりに快適な生活を送る者
  • それなりの収入があっても不便極まりない生活を送る人

の違いは、洗濯機や掃除機など時間的コストのメリットに投資が出来ているかどうかだということが本書から学べます。

「自分が惰性だからこんなことになる」と自罰感情をもってしまうときは、「どうすれば楽になるか?」という工夫の方向性へ思考をすべきなんですよね。

このためには、一度「設備投資をしてみたら劇的にラクになった」という体験をしてみるしかありません。

私自身も本書を読んで生活の質には投資し、ここにはお金は惜しまず使うという思考を持てるようになりました。

最後に

このようなたくさんの気づきが得られる『発達障害サバイバルガイド』。

発達障害を抱えた方へのライフハック本として書かれていますが、そうでない多くの方が読んでも目から鱗のハック術ですので、興味のある方はぜひ読んでみて下さい。

最後に、とっても共感した借金玉さんのコメントを紹介しますね。

僕のライフハックのテーマは「自分を変える」のではなく、「やり方を変える」「環境を変える」「道具を変える」など、パーソナリティの外部にあるものを工夫することで変化を起こすことをモットーにしています。(中略)

そこで、みなさんにひとつだけ気をつけていただきたいことがあります。
この本はあくまで「生きていく」という目的のためにあるということです。
だから、いつも心のどこかで「こんなことやりたくないけど、まあ、仕方がないから試してみるか」という斜に構えた気持ちを持ち続けていただきたいのです。
「正しいハックを実践して正しい人生を生きるぞ!」みたいな気持ちには、絶対になってほしくありません。

あなたが工夫することは素晴らしいことですが、工夫があなたになってしまうことは恐ろしいことです。
それは手段と目的が入れ替わってしまっています。

僕の文章は、あなたが幸せに生きてほしいという気持ちで書かれています。
幸せがあなたを生きるなんて冗談じゃありません。
あなたがあなたである、ということには最大の価値を置くべきだと僕は心から思っています。

出典:『発達障害サバイバルガイド』借金玉 著/ダイヤモンド社(p314)

評者プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Twitterでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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