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【書評】『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』(評者:平光源/精神科医)

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選考委員の平光源さま(精神科医)より、ノミネート作品の書評をお届けします!
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いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本
根本裕幸 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2019年6月発売

書評

いつもの通り良いところを3つに分けて解説しますね。

1.人間の感情の中で1番大切な感情の取り扱いが分かりやすく書いてある本

『あなたが知りたいのは、死ぬほど頑張ってきているから』(サンマーク出版)でも述べましたが、うつ病などの精神疾患が治りづらい1番の理由は罪悪感にあると思っています。

この幸せを遠ざける1番大切な感情を取り扱っている方はあまりなく、いつかはこのテーマで深く掘り下げて1冊の本を書きたいと思っていました。

しかし、罪悪感について7つに分けてわかりやすく優しく、でもきちんと掘り下げて書いてあります。
普段、罪悪感について患者さんに口を酸っぱく言っている私でも、罪悪感についてさらなる深い学びを得ることができました。

「もうこんな素晴らしい本があったの? 私が書く必要が無いかも」

と目玉が飛び出そうになりました。
びっくり仰天とはまさにこのことです。

2.新しい発見がある素敵な本

私も精神科医という仕事を、20年間やってきているので大抵の事は分かっているつもりでした。

しかし例えば、「正しさを主張する人ほど罪悪感が強い」というお話では、このように述べられています。

罪悪感が強ければ強いほど、それを認めてしまうと、それ相応の補償や謝罪をしないといけないと思うので、正当化したり、責任転嫁をしたりするもの。
罪悪感が強い人ほど、そういうふうには見えないものなのです。

出典:『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』根本裕幸 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(p75)

なかなか謝れない人や自分を主張する、一見罪悪感がない人の中には、実はたくさんの罪悪感があるということをわかりやすく、例え話で教えてくれます。

このような視点は私にはなかったので目から鱗でした。
目が飛び出る上に鱗が落ちて、忙しい。

わかりやすい文章の中に、深い学びを得ることができる良い本だと思います。

3.本当に愛のある本

例えば、プロローグで筆者は、愛の感情に心を向ければ、生きやすくなると話します。

子どものことを愛しているからこそ、子供に罪悪感を覚えます。
パートナーを愛しているからこそ、ふがいない自分を罰しようとします。
人が大好きだから、人間関係のトラブルを自分のせいだと感じてしまいます。

出典:『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』根本裕幸 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(p5)

つまり、ただ単に罪悪感はよくないから捨てなさいと言うだけではありません。

「その罪悪感はもともとそのひとの愛から出ているわけだから、罪悪感が大きければ大きいほど本当は愛も大きい」

と、自分が罪悪感を持ち続ける罪悪感で打ちひしがれる読者を優しく包んでくれます。

さらにエピローグでは筆者はこう言います。

罪悪感を排除するために血道を上げるよりも、その感情と上手につきあっていく方法を会得するほうが、より簡単に幸せになると考えています。(中略)

「今のままで、そのままの私で、十分しあわせを感じられる」

出典:『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』根本裕幸 著/ディスカヴァー・トゥエンティワン(p260・262)

罪悪感の裏には愛があるからこそ、

「今のままで、そのままの私で、十分しあわせを感じられる」

と本当に大切なことは、足りないのではなく、ただみつけていないだけであることを教えてくれます。

まとめ

この本を一言でまとめると、「1番大切な感情のことを新しく、分かり易く学べる優しい本」。

淡々と書いてあるのに、著者の愛の大きさが垣間見える、素晴らしい本。

自分の持っている罪悪感をどうにかしたいと思っている方だけでなく、「私は罪悪感なんかもってないわ」と思っている方も、封印していた罪悪感に気がついて、本当の自分に出会える本だと思います。

根本裕幸先生、とても素敵な本をありがとうございます。

出典:平光源さまFacebook投稿(2021年6月28日)

評者プロフィール

2022 優秀賞・2021 選考委員MVP賞
平光源(たいら・こうげん)

東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。

メンタル本大賞2022 ノミネート作品

あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから
平光源 著
サンマーク出版
2021年4月発売

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