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【書評】『「頑張る」をやめてみる』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

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Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!

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『「頑張る」をやめてみる』根本裕幸 著(リベラル社) 「頑張る」をやめてみる
根本裕幸 著
リベラル社
2022年5月発売

書評

この本は、特に「抱え込み症候群」と呼ばれる現象に焦点を当て、責任感が強く他人に頼ることができない人々に向けた内容です。

本書の主なテーマとして以下のことが描かれています。

抱え込み症候群の理解

著者は、仕事やプライベートでのストレスを自分一人で抱え込むことが多い人々を「抱え込み症候群」と定義しています。
この症候群は、自己完結グセから生じるものであり、他人に頼ることができず、自分だけで問題を解決しようとする傾向があります。

ストレス軽減のための具体的な方法

著者は、ストレスを軽減するための具体的なワークやチェックリストを提供しています。
これにより、自分自身の抱え込みタイプを診断し、どのように他人に頼るかを学ぶことができます。
著者は、多くのカウンセリング経験に基づいた実践的なアドバイスを通じて、読者が心の重荷を軽くする手助けをしています。

自己肯定感の重要性

本書では、自己肯定感が低いことが抱え込み症候群の一因であると指摘されています。
自分自身を認められないことで、他人の期待に応えようとしすぎてしまうため、結果的にストレスが増加します。
著者は、自分に優しくなることや、人に頼ることができるようになることが重要だと強調しています。


製薬会社の研究者として、近年働く環境の変化や多忙さが原因で、ストレスを抱え込む人が増えているのを実感します。

本書のように「抱え込み症候群」に特化して、その特徴や対処法を体系的に示してくれる内容は、現代社会における重要な課題に対して非常に有益です。
また、自己肯定感の低さが抱え込み症候群の一因であるとする指摘にも共感しました。

自分自身を認められないことで、他人の期待に応えようとしすぎてしまい、結果的にストレスが増大するという悪循環が生じます。
この点は、医療現場でもしばしば見られる問題であり、患者やスタッフが自分自身を大切にし、必要なときにサポートを求めることの大切さを改めて感じさせられました。

総じて本書は、日常生活や仕事の中で責任感が強く、ストレスを一人で抱えがちな人々にとってのガイドとなる本です。
著者の率直で親しみやすい語り口と、具体的で実践的なアドバイスが組み合わさることで、読者は自分の心の負担を軽くし、より前向きに生きるためのヒントを得ることができるでしょう。

選考委員プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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