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【書評】『自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法』(評者:加藤隆行/心理カウンセラー)

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2021年、2022年と2年連続ノミネート(2021年は【特別賞】受賞)の著者で、選考委員としてもご協力いただいている 加藤隆行さま(心理カウンセラー)より書評をお届けします。

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自分という壁 自分の心に振り回されない29の方法
大愚元勝 著
アスコム
2023年3月発売

書評

仏教とは一般的な有神論的宗教ではなく、人の心の仕組みと自分との向き合い方を説いたもの。
今の言葉で言えば実践的な心理学であり、その要点がわかりやすい丁寧な言葉で優しく綴られています。

一方、表紙からはまったく仏教の香りがせず、一般的なメンタル系の本とは少し毛色が違います。
著者が禅宗の和尚であることを知らない人であれば手にとってみてから私のように少し面食らうかもしれません。

ただ読み進めるとやはり、2500年続く仏教の智慧はシンプルで真理をついているなと思わされます。

この世のあらゆるものは「無常(常に同じ状態であるものはない)」である、ということをベースに、苦しみを作り出しているのは自分自身の心だということがストレートに書かれます。
日頃、他者に対して感じていた怒りや不満、漠然と現れる不安などの負の感情たちが、”私”というものに固執することで起こっており、自分に都合の良い考えや、他人への勝手な期待から生まれているということを、日常の例をふまえて紐解いてくれます。

苦しみとは結局、強くなりすぎた”自我”が生み出しているため、「無我」や「無常」をもとにした仏教の教えは、メンタルを病んでいる人にはちょっと厳しく非現実的に聞こえがちかと思います。
でもYoutubeでも拝見する大愚和尚の語り口は、穏やかで対話的であり、普段わかっちゃいるけどどやめられないことを、そうだよねーとあらためて肚に落としてくれると思います。

「ほとんど妄想と割り切って生きる」という言葉が、心理学を実践してきた自分にはこれ以上ない真理だよな、と感じました。

迷ったときの道標として、何度も読んでいきたい本です。
仏教入門としても最適だと思います。

評者プロフィール


加藤隆行(かとう・たかゆき)
ココロと友達オフィス代表 心理カウンセラー
幼少より病弱だったこともあり、劣等感が強くコミュニケーションの苦手な子に育つ。大手通信会社での激務の中、30歳のとき体調が激烈に悪化。3度の休職と入退院を繰り返し、カラダだけでなく次第にココロとも向き合うようになる。2015年に退職し、心理カウンセラーとして独立。「自分自身と仲直りして優雅に生きる」をコンセプトに、東京を中心に全国でカウンセリングやセミナーを開催。愛称は「かとちゃん」。

小学館クリエイティブさま提供書影『「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと』(名越康文 監修、加藤隆行 文/小学館クリエイティブ) 「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと
名越康文 監修/加藤隆行 文
小学館クリエイティブ
2023年8月発売
その他著書
メンタル本大賞®2021 特別賞
『「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由』
『「また怒ってしまった」と悔いてきた僕が無敵になった理由』
メンタル本大賞®2022 ノミネート
『「会社行きたくない」気持ちがゆるゆるほどける本』
※いずれも、発売:小学館/発行:小学館クリエイティブ

公式サイト・SNS
ブログ「ココロと友達」
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