2022年は著者として優秀賞に輝き、2023年以降は選考委員として参画。多数の書評を寄せて 2023選考委員MVP賞を獲得した 古山有則さま(メンタルトレーナー) の書評をお届けします。
誰でもみんなうつになる 私のプチうつ脱出ガイド ハラユキ 著/星野概念 監修 KADOKAWA 2023年11月発売 |
書評
本書を読むあなたには、”最終的”に次のような安心感を手に入れてほしいです。
リアルな声を届けてくれてありがとう。
色々な方法があるんだ。
私も必ず合う方法に出会って、メンタルを回復していこう。
というのも、誤読は避けてほしいと思っているからこそ、そのように書かせていただきました。
本書はマンガでスイスイ読めます。
ただ、うつ病が良くなる過程をとにかくリアルに書かれているんです。
とにかくリアルというのは、著者が、うつ病を体験し、苦しみながら調べ、葛藤しながらわからないことは聞き、まとめてくれているのです。
うつ病が良くなっていくには、時間がかかります。
「すぐに、簡単に、楽に」回復劇はありません。
たとえば、お金で言えば「すぐに数十万稼げる」は裏がありそうですよね。
それと同様に、うつ病がよくなっていくのはある程度の時間がかかるんです。
すぐにメンタルを上げたいと期待する気持ちもわかりますが、急に上がったメンタルは急に下がる可能性があります。
だからこそ、焦らずに、長期的に、継続的にメンタルを安定させていきましょう。
本書は、うつ病になってからぶつかる壁についても具体的に書いてくれています。
たとえば、メンタルが落ちた時、病院に行こうと検索しても、溢れるくらい候補が出てきます。
情報が溢れていて、どこを選べばいいのかわかりませんし、精神科、婦人科、心療内科ではアプローチが変わっていきます。
そして、実際に足を運んでみると、病院の先生との相性にも悩まされてしまうこともあります。
正直な話、マンガに書かれていることは、まさにあなたが病院に行く時に起こりうるリアルで切実な悩みなのです。
本書を読み進めていくと、
「結局どうすればいいの?」
「こんなに方法があって混乱してしまう……」
と思ってしまうことも想定されると感じました。
ただ安心してください。
私は本書をネガティブに考えていません。
むしろポジティブです。
時間はかかったとしても、あなたのメンタルが上がる方法を見つけ、最終的には著者のように元気になるんだ」と思ってほしいのです。
リアルな声というものは、時にストレートすぎて、グサリとくる時もあります。
SNSには「1時間でうつ病が良くなる」「1日で一生メンタルが安定する」などの情報もありますし、私も見たことがあります。
聞き心地は良い内容よりも、きちんと信用がおけ、現実を見せてくれる本書を読んでほしいと思います。
本書は、うつ病の当事者以外にも、専門家、カウンセラーにも読んでほしいと思いました。
私はメンタルトレーナーとして日々、生きづらさを感じている人と関わっていますが、本書に書かれているように、幅広くのアプローチが存在するのだから、私が大切にしている方法に固執することはいけないことなんだと気づかせていただきました。
評者プロフィール
メンタル本大賞®2022 優秀賞
メンタル本大賞®2024 選考委員MVP賞
古山有則(こやま・あきのり)
メンタルトレーナー
大学院修了後、相続専門税理士法人に勤め、その後独立。
燃え尽き症候群や円形脱毛症をきっかけに、書籍を1万冊以上読み漁る。
高校時代に野球の国民体育大会(国体)優勝で培ったメンタル強化メソッドを統合し、
「今が人生でいちばん楽しい」状態を常にアップデートできる独自のメントレを導き出す。
「あなたが今、どんな状況・どんな状態だったとしても価値がある」というメッセージを届けるのがミッション。
ココロちゃんの取扱説明書(トリセツ) 古山有則 著 あさ出版 2021年12月発売 |
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