Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
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いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本 根本裕幸 著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2019年6月発売 |
書評
この本は、自己責任感や罪悪感に悩む人々に向けた内容で、約20年にわたるカウンセリング経験を基に、罪悪感のメカニズムとその解消方法について詳しく解説しています。
本書では、罪悪感がどのようにして生じるのか、そしてそれが私たちの幸福感にどのように影響を与えるのかを探ります。
著者は、罪悪感が「自分が悪い」「自分のせいだ」と感じさせる感情であり、この感情が私たちをしあわせから遠ざける要因であると指摘しています。
特に、他人の期待に応えようとするあまり、自分自身を犠牲にしてしまうことが多いと述べています。
罪悪感の7つのタイプが紹介されており、それぞれがどのような状況で生じるかについて具体的な例が挙げられています。
例えば、「誰かを傷つけてしまった罪悪感」や「自分は助けられなかったという罪悪感」などがあります。
これらは、自己評価や他者との関係性に深く関わっており、多くの場合、自覚されないまま心の中に蓄積されていきます。
さらに、著者は読者に対して、自分自身を許すことの重要性を強調しています。
罪悪感から解放されるためには、自分の過去や行動を受け入れ、自己肯定感を高めることが必要です。
このプロセスを通じて、読者は少しずつ自分自身を癒し、より良い人生を送るための手助けとなることを目指しています。
この本は、多くの読者から共感を呼び起こし、「読んでいて涙が止まらなかった」という声も寄せられています。
特に、自分自身を責め続けている人々にとって、この本は心の支えとなり得る一冊です。
罪悪感が人間の心理や行動に及ぼす影響を考えることは、メンタルヘルス研究や医療への応用において非常に意義深いテーマです。
本書は、罪悪感のメカニズムとその解消方法を丁寧に紐解き、自分を責める気持ちから解放されるプロセスを提案しています。
この内容は研究者にとっても大いに参考となり、特に人間の行動や感情が健康全般に与える影響を深く考える機会を与えてくれました。
「誰かを傷つけてしまった罪悪感」や「助けられなかったという罪悪感」は、研究者としても共感できる部分でした。
医薬品開発においても、患者やその家族が抱える期待や希望に応えるために努力を尽くす一方、失敗した場合にはその結果に責任を感じることがあります。
このような状況における罪悪感は、時に研究のモチベーションを高める一方で、自分を過度に責めることでバーンアウトを招く危険性もあります。
本書のメッセージは、こうした罪悪感の適切なコントロール方法を学ぶ上で非常に役立ちます。
この本は、罪悪感に悩む人々だけでなく、研究者や医療従事者にも多くの示唆を与えてくれる一冊です。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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