Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
メンタル・クエスト 心のHPが0になりそうな自分をラクにする本 鈴木裕介 著 大和出版 2020年4月発売 |
書評
本書は、人生をゲームの「クエスト」に例え、生きづらさを感じる人々に向けて、心の健康を保つための具体的な方法や考え方を提案しています。
主なテーマとしては以下の内容があります。
生きづらさの理解
著者は、生きづらさをゲームのステージクリアに例え、心のHP(ヒットポイント)が低下することが日常生活にどのように影響を与えるかを説明し、その回復方法について具体的なアドバイスを提供しています。
セーブポイントの概念
「セーブポイント」という概念は、心の健康を保つための「安心できる拠点」を指し、信頼できる人間関係や環境が心の安定に寄与することを教えてくれます。
自己理解とキャラクタータイプ
自分自身の性格や行動パターンを理解することが重要であり、異なる「キャラクタータイプ」を紹介し、それぞれが持つ特性や弱点について考察します。
これにより、読者は自分自身をより深く理解し、適切な対処法を見つける手助けになります。
見えない敵との戦い
社会的なプレッシャーや自己否定感などの「見えない敵」が心に与える影響を分析し、それに対抗するための戦略を提案します。
実践的なヒントとアドバイス
日常生活で実践できる具体的なヒントやアドバイスが提供されており、ストレス管理やリラクゼーション技術などが含まれています。
このように本書は、ゲームという親しみやすいテーマを通じて、メンタルヘルスについて深く考える機会を提供しており、多くの人々にとって有益な内容となっています。
研究者は、日々の業務でストレスやプレッシャーを感じることは少なくありません。
本書が示す「人生をゲームに見立てる」というユニークなアプローチは、そうした負担を軽減する実践的な手法として、科学的知見に基づいたストレス管理の一助となると感じました。
本書で示される「心のHP(ヒットポイント)」という概念は、心のエネルギーを可視化して考える斬新な切り口です。
研究の世界でも、ストレスが持つ生理学的影響やその累積がパフォーマンス低下に直結することが広く知られています。
例えば、集中力や創造性を要する仕事では、無意識にHPを消耗していることが多く、この視点を取り入れることで、自分の限界に気付きやすくなるのではないかと思いました。
また、「見えない敵」に対抗する戦略は、現代社会を生きるすべての人にとって共感できる内容です。
製薬業界では時に厳しい規制や競争の中で成果を求められるため、プレッシャーは日常茶飯事です。
本書が提案する具体的なアプローチは、このような環境で心を守る手助けになると感じました。
本書は、ゲームという親しみやすいテーマを通じて、生きづらさを感じる人々にメンタルヘルスの改善方法を提示する一冊です。
特にストレスの多い職場環境にいる方や、日々の生活で心の負担を感じている方に強くおすすめしたいです。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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