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【書評】『「どうせ私なんて‥‥‥」がなくなる「謙遜さん」の本』(評者:きょう/製薬会社 主任研究者)

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Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします。

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「どうせ私なんて‥‥‥」がなくなる「謙遜さん」の本
田中遥、加藤紘織 著
飛鳥新社
2024年8月発売

書評

主に「インポスター症候群」と呼ばれる心理的な問題に焦点を当てており、日本人の多くが抱える「謙遜」の文化的背景を踏まえ、自分を過小評価しがちな人々に向けて書かれています。
主なテーマとして以下の4つがあります。

謙遜さんの特徴

謙遜さんとは、自分を褒めることができず、他人からの評価を素直に受け入れられない人々を指します。
日本人の約4人に1人がこのような傾向を持っていると述べられています。
具体的には、「私なんて」といった自己否定的な言葉が口癖になっていることが多いのも特徴です。

インポスター症候群

自分の成功を他人の助けや運によるものと考え、自分の能力を疑う心理状態のことを指しています。
この状態が放置されると、うつ病や適応障害などの深刻な問題につながる可能性があります。

自己肯定感の向上

本書は、謙遜さんが自分を認められるようになるための具体的な方法や心構えを提案しています。
例えば、「魔法の言葉」を使って気持ちを切り替える技術や、自分を褒めることの重要性について触れています。
これにより、読者は自分自身をより良く理解し、受け入れる手助けを得ることができます。

実践的なアドバイス

各章では、謙遜さんが日常生活で直面する課題に対する具体的な対策や心構えが紹介されています。
これには、自分の感情を正しく認識し、それに基づいて行動する方法などが含まれています。

この本は、自己肯定感を高めたいと考えるすべての人々にとって有益な内容となっており、特に日本文化における謙遜の価値観とその影響について深く掘り下げています。
読者は、この書籍を通じて自分自身をより良く理解し、前向きな変化を促す手助けを得られるでしょう。


「謙遜さん」という表現で象徴されるように、日本人の約4人に1人が「私なんて」といった自己否定的な思考を持つ傾向があると指摘されています。
この統計に触れたとき、研究の現場で「もっと信頼できるデータを示さなくては」と発言をためらってしまう姿が浮かびました。
過剰な謙虚さは、創造性や革新を阻む可能性があることを改めて認識させられました。

製薬会社の研究者として、日々の仕事では成果を測定し、報告し、周囲からの評価を受けることが不可欠です。
しかし、自分の成果を素直に認められず、「運が良かっただけ」「他の人の助けが大きかった」と考えることがしばしばあり、これはまさに本書で取り上げられている「インポスター症候群」に通じる現象です。

このような心理的な課題は、個人の成長を妨げるだけでなく、チームや組織全体の生産性にも影響を及ぼしかねません。
本書はそのような問題を抱えるすべての人にとって、非常に実践的で洞察に富んだガイドブックだと感じました。

評者プロフィール


きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。

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