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【書評】『「自己肯定感低めの人」のための本』(評者:平光源/精神科医)

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選考委員の平光源さま(精神科医)より、ノミネート作品の書評をお届けします!
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「自己肯定感低めの人」のための本
山根洋士 著
アスコム
2020年9月

書評

この本の良いところを3つに分けて解説しますね。

1.密度が高いのに重くなく読みやすい本

メンタル本にはいろいろありますが、大きく分けると次の2つに集約されると思います。

多くの疾患や状態を網羅して、それに対して広く浅く書いている○○大全のような本と、1つのテーマに絞って、深く掘り下げていくような本の2つのタイプです。

前者は多くのテーマを扱うので、辞書的に使える安心感がありますが、ボリュームが多く完読が難しくなったり、1つのテーマに使える文字数が限られるで、物足りなかったりします。

後者は1つのテーマをじっくり扱えるので、本質を深く掘り下げることが出来る反面、深くなりすぎると「密度が高くなる」、つまり内容が難しく重くなってしまいます。

この本は、自己肯定感という1つの事を扱っているのにスラスラと読みやすく、また重くないにもかかわらず、気が付くと自己肯定感の本質に近づくことができます。

2.価値感がひっくり返る本

多くのメンタル本は「マイナス思考をプラス思考にするには」「自己肯定感を高めるには」という視点から語られていることが多いですが、この本は、「本当は自己肯定感に高いも低いもない」とまさかのちゃぶ台返し(笑)をしてくれます。

気持ち=解釈×現実なので、無意識の心のクセ(この本ではメンタルノイズと呼ぶ)である解釈を変えれば自分の気持ちが変わってくることを豊富な具体例で伝えてくれています。

価値観をいい意味でリセットしてくれる本です。

3.自分らしさを受け入れられる本

「すべてはコインの裏表。短所も長所もあるのだから、まずは物事を善悪で判断せず中立の状態でフラットに判断すること」

これは私が患者さんに何度も伝えてきたとても大切なテーマで、平光源という私のペンネームの平(フラット)にもその思いが込められています。

私の本、『あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから』(サンマーク出版)でも「あなたはまつたけ」の話として冒頭に取り上げさせていただきました。

この本にも、

「メンタルノイズをキャンセルしていく作業は、どちらを選んでも〇なんだと気づけるフラットな状態をつくることでもあります。どちらも選べる。これほど楽しい選択はないですよね」

と私が思って伝えていることが、とても分かりやすく書いてありました。
すべての自分の選択がOKということは究極の自己肯定感です。

さらに踏み込んで、

「そのノイズがいままであなたを守ってきてくれたんだ。だから、まずはメンタルノイズに感謝してください」

という文章を読んで、私も自分のメンタルノイズが自分を救っていたことに気が付き、目頭が熱くなりました。

まとめ

この本は、読みやすく、目から鱗が落ちて、自分を受け入れられるようになる本です。

「この本を読めばどんな自分も受け入れられるあなたがに変わる」

という背表紙の文言もウソではありません。

メンタルノイズでさえ愛おしい存在であると教えてくれる本。
障がいの診断を受けていてもいなくても、自己肯定感低めの方すべてにおすすめできます。

山根洋士先生とても素晴らしい本を書いてくださって本当にありがとうございました。

出典:平光源さまFacebook投稿(2021年6月7日)

評者プロフィール

2022 優秀賞・2021 選考委員MVP賞
平光源(たいら・こうげん)

東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。

メンタル本大賞2022 ノミネート作品

あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから
平光源 著
サンマーク出版
2021年4月発売

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