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【書評】『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(評者:平光源/精神科医)

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選考委員の平光源さま(精神科医)より、ノミネート作品の書評をお届けします!
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多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。
Jam 著/名越康文 監修
サンクチュアリ出版
2018年7月発売

書評

この本の良いところは以下の3点です。

1.見開き2ページで読みやすい。

精神科の外来でつくづく思うのですが、鬱の状態がひどい方は本当にエネルギーが枯渇しているので、活字を追うのもやっとの状態です。
当然300ページの本を預けられても読む気力もわかないでしょう。

この本は、ほとんどの章が見開き2ページでおさまって書いているので、本当に読みやすく、手に取りやすくなっています。

また、この2ページ完結形式の本は、途中から読んでも話がこんがらないので、「今日の私に必要なアドバイスをください」と言いながら、無造作にページを開いてアドバイスをもらうと言う、占い読みにもってこいです。

2.漫画と文章のハイブリット形式なので、わかりやすい。

見開き2ページの右側には4コマ漫画、左側には解説が載っています。
漫画でいちど起承転結のストーリーを体験し理解したあと、もう一度同じ内容について解説している親切設計。

本を2回読んだかのような状態になるので、Jamさんの可愛らしいイラストも相まって、理解が深まりやすくわかりやすいです。

3.例え話がうまく、腑に落ちる。

この本の内容で私が1番好きなエピソードですが、「嫌な人のことをずっと考えてしまう」いう悩みに対しての秀逸な返答がありました。

それは、「嫌な奴のことが頭から離れないって一緒の家に住んでいるようなもんだよ。
家賃を払ってあげているのと同じだよ。しっかり心から追い出すんだよ」というお話でした。

私もどうしても短い時間で患者さんにわかってもらうためには、患者さんの職業や経験に沿った例え話をすることが多いです。
それは、百のむなしい説得よりも、その人にとっての一の実体験を踏まえた例え話が、なるほどと腹に落ちるからです。

この本の例でもわかるとおり、メタファー(暗喩:例え話)がとても適切で、この本のわかりやすさをさらに際立たせています。
頭だけじゃなく、ハートでわかると言うことが腑に落ちると言う事。

この本の特徴は、読みやすく、わかりやすく、腑に落ちる。
そういう本が書きたいと思っている私としては、袖を噛んで歯軋りするぐらいに素敵な本です。
適応障害、そして鬱の回復期に最初に読むにはもってこいの本だと思います。

出典:平光源さまFacebook投稿(2021年5月31日)

評者プロフィール

2022 優秀賞・2021 選考委員MVP賞
平光源(たいら・こうげん)

東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。

メンタル本大賞2022 ノミネート作品

あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから
平光源 著
サンマーク出版
2021年4月発売

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