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【書評】『しんどい心にさようなら 生きやすくなる55の考え方』(評者:平光源/精神科医)

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選考委員の平光源さま(精神科医)より、ノミネート作品の書評をお届けします!
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しんどい心にさようなら 生きやすくなる55の考え方
きい 著/ゆうきゆう 監修
KADOKAWA
2020年3月発売

書評

平光源の書評シリーズ
今回は、きい先生の『しんどい心にさようなら 生きやすくなる55の考え方』(KADOKAWA)です。

今回もこの本の良いところを3つに分けて説明しますね。

1.「あっ、これ私!」と思わず声をあげてしまうような、親しみやすい本

この本は、生きづらさ、しんどさを

「完璧主義がしんどい」
「他人が気になってしんどい」
「自分の考えがしんどい」
「しんどい考えは不安・恐怖が根っこにある」

と4つの代表的なタイプに分けて書いてくれています。

その各章の冒頭には、簡単なチェック表と、そのしんどさの代表的な特徴をイラストでわかりやすくまとめて図示してくれています。

さらにそれを、

  • 背負いすぎる人
  • 気を使いすぎる人
  • イライラしやすい人 など

のように55の特徴別に分けて、その対策を述べてくれています。

ご本人が辞書的に使って欲しかったと述べてあるように、ほとんどの世のしんどさがまとめられていて、「あっこれ私だ!」と思わず声が出そうな内容になっていてとても親切。

まずは自分が当てはまるなぁと思えるページを開き、なるほどと納得しながら、関連する「あわせて読みたい」のページにジャンプして読むのが実践的でいいかもしれません。

本当に親しみやすくて読みやすい本です。

2.ただただ、わかりやすい本

この本は辞書的に作られていながらも、見開き2ページで前半に4コマ漫画、後半にその解説とまとめという構成になってます。

とても読みやすく理解もしやすく、すらすらと最後まで読めて、そのバランスが絶妙。

例えば、【「いい・悪い」のジャッジが多い人】の項目では、

人間性や人の状態は「違い」であって上下はありません。技術の習熟度も「未熟・成熟」であって人間性の上下はありません。タテの物差しで測らずヨコにしてほしいんです。

出典:『しんどい心にさようなら 生きやすくなる55の考え方』きい 著、ゆうきゆう 監修/KADOKAWA(p151)

と、マンガと文章で解説してあり、とても内容がイメージしやすく書いてあって、理解も一瞬ではっとさせられます。

ただただ、わかりやすい本です。

3.当事者がもがき苦しみながら書き上げた優しい本

きい先生はもともと武蔵野美術大学を卒業された芸術畑の方です。
しかし統合失調症を発症され、適応障害になるなどして、本当に生きるしんどさを自ら体験されました。

その後、認知行動療法やアドラー心理学などを独自に学び、抑うつ状態を改善され、その中で学んだ事をInstagramに投稿。

それが好評を博し、現在は心理カウンセラーとして活躍されています。

この本にはきい先生自身が苦しんだ、そしてそれを乗り越えたヒントがたくさん詰まっています。

自分で本当に苦労して乗り越えたからこその説得力があります。

例えば、

【強がりな人】の項目の「パーフェクトに見せたい強がりは拒絶される恐怖の裏返し」

【人が思い通りにならなくて腹が立つ人】のそれは「自分が誰かの思い通りになってきた人」だから「まずは自分にお疲れ様」と気づいてねぎらう

は著者が実体験をして克服したことでないと、なかなか出てこない考えだと思います。

パーフェクトに見せたい強がりは拒絶される恐怖の裏返し。
「見放さないで」「仲間でいさせて」という弱気な本心があります。

出典:『しんどい心にさようなら 生きやすくなる55の考え方』きい 著、ゆうきゆう 監修/KADOKAWA(p31)

人が思い通りにならなくて腹が立つタイプは、自分が誰かの思い通りになってきた人が多いです。期待に応えられるように、怒られないように合わせることを優先して平穏を守ってきた。だから、自分以外の誰かが意思のまま、気持ちのままに行動することに対して、「そうじゃない」と腹が立ってしまうんです。

人に合わせてきたそんな自分を見つけたら…まずは自分にお疲れ様。

出典:『しんどい心にさようなら 生きやすくなる55の考え方』きい 著、ゆうきゆう 監修/KADOKAWA(p25)

本当にしんどい心に寄り添ってくれる優しい本です。

まとめ

この本を一言で言うと、

親しみやすく、わかりやすい著者の体験し克服した生きるヒントが詰まった本

だと思います。

ある程度元気になられた方はもちろん、生きづらさに困っていて、どこから手をつけていいかわからない方にオススメです。

きい先生、すばらしい本をありがとうございました。

出典:平光源さまFacebook投稿(2021年7月31日)

評者プロフィール

2022 優秀賞・2021 選考委員MVP賞
平光源(たいら・こうげん)

東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。

メンタル本大賞2022 ノミネート作品

あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから
平光源 著
サンマーク出版
2021年4月発売

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