『それ、勝手な決めつけかもよ?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者、阿部広太郎さん(コピーライター)インタビューを5日連続でお届けします!
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【PART3】『待っていても、はじまらない。』に込めた想い
(聞き手)細貝しょう・成瀬俊昭:文[メンタル本大賞実行委員]
『心をつかむ超言葉術』から得た手ごたえ
成瀬: 3作目となる今作『それ、勝手な決めつけかもよ?』は、2作目『心をつかむ超言葉術』と比べて、何か反響に違いはありましたか?
阿部: 2作目は、営業職の方や企画に携わる方たちに届いたという手ごたえがありました。今作は、10代の方からシニア世代の方たちまで幅広く感想をいただいてます。僕自身、コロナ禍での心のしんどさを何とかしたいというのが執筆の1つのモチベーションだったので、<解釈>によって心が楽になる感覚を読者の皆さんと共有できた実感がありますね。
きっかけは「猛烈に働き続けることへの違和感」
成瀬: 1作目『待っていても、はじまらない。』は、各分野の著名なプロフェッショナルの方からの助言に耳を傾けて、阿部さん自身の気づきが素直に書かれているという印象を受けました。私、この1作目もとても気に入っています!
阿部: ありがとうございます。今から5年前の20代後半の時に書いた本で、まだまだこれから頑張っていくぞ!という時でした。振り返って読んでみても、今の自分では書けない気持ちが書かれているなと思いますね。
待っていても、はじまらない。 阿部広太郎 著 弘文堂 2016年8月発売[1作目] |
対談:渡辺雄介(脚本家)/白岩玄(作家)/松居大悟(映画監督)/芦沢ムネト(芸人)/古市憲寿(社会学者)/清野とおる(漫画家)
成瀬: 対談相手は錚々(そうそう)たる顔ぶれですね。
阿部: 当時、興味を抱いていたのが働き方だったんです。朝早くから、時には終電まで。仕事に充実感はあるものの、この猛烈な働き方をずっと続けるんだろうかという疑問を持ったことがあって……。どうすれば自分らしい道を歩んでいけるのか、違う業界の方に聞きにいこうという思いからはじまりました。
成瀬: はじめから本にしようと考えていたのですか?
阿部: Webサイトでの連載からはじまり、いつか本にできたらいいな、という思いは強かったです。いくつかの出版社さんに企画を持ち込んだのですが、断られてしまい、ご縁があったのが弘文堂さんでした。
古市憲寿さん(社会学者)の素顔
成瀬: 個人的に印象深いのは、古市憲寿さんとの対談です。テレビでは伝わりにくい、飾らない、自然体の古市さんを知ることができて、この本を読んでから好きになりました!
古市:(中略)居心地よく生きるために、その場にふさわしいキャラクターをつくることも方法の一つだとは思います。
ただ、それが辛いんだったら居場所を変えてみるのも一つの方法だと思います。
よく、他人は変えられないけど、自分は変えられると言いますが、嘘です。
移動するだけで他人は変わりますから。
ただ、どっちが楽かはその人次第ですけどね。
僕の場合は居場所ごとにキャラクターがあるわけではなくて、逆にこのキャラクターのままでも付き合える人との関係を広げているイメージですね。
(p149-150)古市:(中略)僕は自分自身にもあまり期待していません。
期待値が高すぎて、自分にはできるはずっていう思考に陥ると、現実とのギャップに落ち込むけど、期待値が低ければ、たぶん傷つかずに生きていけます(笑)
(p151)出典:『待っていても、はじまらない。』阿部広太郎 著、弘文堂
【レポ】9.23金
阿部広太郎×古市憲寿
『待っていても、はじまらない。―潔く前に進め』刊行記念阿部さんの本は入荷分完売! トーク終了後に本を買いに走ったお客様が多かったので、話の内容が本当によかったんだなあとしみじみしました。 pic.twitter.com/IYSNZBzFTO
— Rethink Books (@Rethink_Books) September 23, 2016
阿部: 対談した皆さんの考え方だけじゃなくて、人柄まで知っていただけるのは嬉しいですね。僕もこの対談を通じて、たくさんの気づきや新しい視点を教えていただきました。
成瀬: きっと、阿部さんが抱いていた「自分らしい道を歩みたい」という純粋な気持ちが対談相手の方々に伝わったのでしょうね。
阿部: 話を聞きに行く、そして自分の思いを深堀りする、その往復で自分の道が見えてきた感覚があります。
成瀬: この1作目は、ある意味では、阿部さん自身が行き詰ってしまったことがきっかけだったのでしょうか?
阿部: 行き詰まるというよりは、これからいきいきと働いていくために何かやり方があるんじゃないかと思ったんですよね。そしてそれは僕だけじゃなくて、自分の道をつくるために、多くの人にとってヒントになるんじゃないかという気持ちがありました。
成瀬: 単なる著名人との対談本ではなくて、それぞれの対談後に阿部さん自身の素直な気持ち、振り返りがやさしい文体で書かれていて、読者にとっても気づきの多い本だなと思いました。個人的には、おわりにで書かれていたメッセージに勇気をもらえて、すごくいいなと思いました。
このおわりにで伝えておきたいこと。
それは、待っていてもいい、待つことを選んでもいい、ということ。
まずは既にある列に並んで、その場で最大限のことを学ぶのもありだと思う。
いつか、変わりたくて、変わりたくて、いてもたってもいられない時のために。
それまでじっとエネルギーを溜めておくのも一つの正解だと思う。そしてもし、いまあなたがある環境にいて、新しいことをやりたい、現状を変えたい、このままじゃいられない、そう強く思ったら、勇気をふりしぼって未来への一歩を踏み出してほしい。
それはまわりの人とはちがう道なのかもしれない。
もしかしたら失うこともあるかもしれない。
でも、これだけは大切にしたいという潔さが、必ず前に進む原動力になるから。出典:『待っていても、はじまらない。』阿部広太郎 著、弘文堂(p202)
PART4 につづく
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