ノミネート作品の『もしかして、適応障害? 会社で“壊れそう”と思ったら』の著者、森下克也さまからメッセージをいただきました。お忙しいところありがとうございます!
もしかして、適応障害? 会社で“壊れそう”と思ったら
森下克也 著
CCCメディアハウス
構想は、心療内科の診療現場で、職場ストレスによりうつになられる人が多いことと、それが適応障害であり、どう対処すべきかを知らない人がとても多いことが気になっていました。
私のもとを訪れた方には、それらについてお話をしていますが、より多くの人に知っていていただきたいと思ったのがきっかけです。
ストレスの生物学的メカニズム、心理的メカニズム、性格傾向、どういった環境要因がストレスとなるか、自宅安静をどう過ごせばいいかなど、それらをわかりやすく、専門的になりすぎないように伝えるにはどうすればいいかというところにもっとも注意を払っています。
また、事例の個所では、個人が特定されないようにする工夫も必要でした。
診断書を医師が書いて自宅安静に入るという手続きも普通に行われています。
しかし、決定的に抜けているのは、では、その自宅安静をどう過ごせばいいかということです。
抜けても問題のないものであればいいのですが、実は、ここをどう過ごすかが適応障害の予後に多大な影響を及ぼします。
その意味で、みなさんに一番伝えたかったのは、自宅安静をどうすごせいいか、その方法です。
一般的に、医師が教えてくれない部分だからです。
患者さんの変化に特段の変化があるわけではありませんが、せっかく本を読んでこられた方の期待を裏切らない医療をいかに提供できるか、本を読んでいただいた以上の何かを得て帰っていかれるよう気持ちを引き締めています。
私自身の気持ちの変化ですね。
それぞれはとてもつらい出来事でしたが、その「つらさ」に巻き込まれてしまうと「なんで自分だけが」という捉え方になり「世界一の不幸者」になってしまいます。
そういう捉え方ではなく、そのつらさから学べたことは何だ、同じことを繰り返さないためにはどうすればいいんだ、と前向きに捉え、自身の成長の一助として向き合ってきたつもりで、それが結果的に克服というものつながっていったといえばいえます。
すると、結果として起きてしまった病気を治すより、そういう病気が発症しないようにするにはどうすればいいかというほうに興味が行くようになりました。
そこを扱う診療科は心療内科ですので、8年間続けた脳外科をあっさり辞めて心療内科に転向しました。
それ以外ですと、谷崎潤一郎、泉鏡花が私のお気に入りというか、おこがましいですが、文章の師と勝手に仰がせていただいています。
お二人とも、文章におきましては「音調の美」というものを重視されています。
私の書く医学書のような無味乾燥の文章でも、いえ、そうだからこそ、そういうものを意識することで少しでも読みやすい文になればと思って配慮しています。
澁澤龍彦や三島由紀夫も大好きな作家です。
多くは、思春期特有の強い自意識、恥の感覚、身体感覚の過敏さなど、一言でいえば心身の未熟に原因があるとい言える問題で、病名も的確なものがありません。
そういうものにもっと光を当てられればいいなと思っています。
「しんどい」人はたくさんいます。書籍もたくさん出ています。
情報過多の世の中、「メンタル本大賞」が、心病む人にとって、正しい情報を選択できる大きな助けとなってくれればいいと思います。
森下克也さまの最新作(2021年1月発売)
もし、部下が適応障害になったら 部下と会社を守る方法
森下克也 著
CCCメディアハウス
年々増えている適応障害の原因は、外部環境のストレスです。
つまり、職場での何かしらの出来事が原因になっているのです。
部下が適応障害になったとき……
- どうしていいかわからず、結局何もしない
- 「根性」「気のゆるみ」など、精神論に置き換える
- 「この程度でおかしくなるはずがない!」と、自分の価値観で判断
- 「俺に任せて!」と親身になりすぎる
といった、つい取りがちなまずい対応は、部下を悪化させるだけ。
大切なのは、正しい知識を身につけて、組織的に動くことです。
部下と会社を守るために、知っておくべき知識とスキルをまとめた1冊。
→ 詳しい内容のご紹介はこちら