「#あな生き」の著者であり、メンタル本大賞の選考委員を務めていただいている、平光源さん(精神科医)のインタビュー。
8日連続でお届けしてきましたが、今回は最終回!
左:スクラム古川店さま、右:丸善仙台アエル店さまでの展開の様子
あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから 平光源 著 サンマーク出版 2021年4月発売 |
【PART8 最終回】平光源さんインタビュー
推薦作品について
― メンタル本を推薦していただきありがとうございます。2冊とも言わずと知れた名著ですね。私も読ませていただきました。
道は開ける D・カーネギー 著、香山 晶 訳 創元社 2016年1月発売(文庫版) |
置かれた場所で咲きなさい 渡辺和子 著 幻冬舎 2012年4月発売 |
平光源さまの推薦コメントはプロフィールにてご紹介
― 『道は開ける』は読むだけでも大変でした。これを何度も読んで実践されているのは、本当にスゴイと思います!
三浪が決まって絶望していたとき、「悩み」に関する本は100冊近く読んだんですよ。
『道は開ける』は10回ほど読みました。
現役合格した同期の友人にその話をしたら、「だから三浪するんだ」って言われたんです。
本当にその通りだなと思って(笑)
― 普通の人は何浪しても医学部には入れないんですけどね(笑)
ところで「#あな生き」には、『道は開ける』と『置かれた場所で咲きなさい』で説かれている内容に通じる部分があるように感じました。
自分が苦しんでいたときに響いた言葉を患者さんにお話することがあります。
自分がこの患者さんに必要と思った言葉を自分の言葉で伝えていますが、これらの本に助けられて、その本の言葉が自分の血となり肉となって、自分の言葉となって出てきているんだろうなと思います。
― 『置かれた場所で咲きなさい』は、最初少しだけ反発を覚えたとおっしゃっていましたね。
初めて題名を目にしたときですね。
読者のレビューにもネガティブなコメントが寄せられています。
私も「置かれた場所から逃げたほうがいい」と思っている人間なので、気持ちはわからなくはないんです。
でも、本を手に取って読み進めるうち、その思いがひっくり返りました。
― 私も同感です。心底強い女性なのだと思いながら読んでいたら、うつ病で苦しんだ経験を明かしていて……。そこから著者の渡辺さんに対する見方が変わったように思いました。
目の前で父親を殺された経験をしたにもかかわらず、その犯人の息子のことを受け入れて、抱きしめる愛には、ただただ胸を打たれて心が洗われました。
シスターとして、渡辺和子さんの人を許す覚悟を強く感じました。
(参考)産経新聞「産経抄」2017年1月3日
渡辺和子さん死去… 憎しみを花に変えることはできるか?
たくさんいただいた穴の中で、私が一番つらかったのは、五十歳になった時に開いた「うつ病」という穴でした。
この病のつらさは、多分、罹った者でなければ、わからないでしょう。
学長職に加えて、修道会の要職にも任ぜられた過労によるものだったと思いますが、私は、自信を全く失い、死ぬことさえ考えました。
信仰を得てから三十年あまり、修道生活を送って二十年が経つというのに。入院もし、投薬も受けましたが、苦しい二年間でした。(中略)
かくて病気という人生の穴は、それまで見ることができなかった多くのものを、見せてくれました。
それは、その時まで気付かなかった他人の優しさであり、自分の傲慢さでした。
私は、この病によって、以前より優しくなりました。
他人の弱さがわかるようになったのです。出典:『置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子 著/幻冬舎
八文字屋書店SELVA店さまでの展開の様子
メンタル本大賞について
― 書店にはよく足を運ばれるのですか?
もともと良くいくほうだったのですが、本を出版してからは行く頻度がさらにあがりました。
本の配置やポップの作りこみなど、最近は、力を入れている書店さんとそうでない書店さんの見分けがつくようになりました。
書店員の方には「また奴が来た」という感じで覚えられているかも知れません(笑)
― そうなんですね(笑)
メンタル本大賞の活動を始めたそもそもの理由が「本が多すぎて探せない」ということでした。
書店さんに行くたびに、メンタル本の多さに驚きます。
メンタル本大賞のサイトを拝見して、趣旨やご苦労もよくわかりました。
実行委員会の皆さんが作り上げた、このあたたかくて、優しい雰囲気を壊さないようにできる限り協力したいと思います。
しんどいと感じている人は、文字を読むことに負担を感じることも多いですし、書店で本を探すこと以前に、外出すること自体が大変なときもありますから……。
少しでも苦しんでいる方が楽になるように、良書はじっくりとご紹介していきたいなと思います。
平光源さんには、選考委員としてノミネート作品の書評をご寄稿いただいています(書評一覧はこちら)。
― 光源さん、ありがとうございました!
愛猫(左:ルル10歳、右:ナナ11か月)と平光源さん
プロフィール
メンタル本大賞 選考委員
平光源(たいら・こうげん)
東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。
あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから 平光源 著 サンマーク出版 2021年4月発売 |
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