加藤隆行さま(心理カウンセラー)より、おすすめ作品の書評をお届けします!
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あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから 平光源 著 サンマーク出版 2021年4月発売 |
書評
【それは一生懸命だからこそ】
私もカウンセラーをしておりますので、クライアントさんには「死にたい」とお話される方も訪れます。
そんな方には私も、平先生と同様に
「死んでもいいですよ」
「それぐらいツライもんね」
というところから話をはじめます。
多くのクライアントさんはその言葉に「え!?いいんですか!?」と驚かれます。
自分の想いに共感してもらえたことに涙を流されたり、「いいんだ、と思ったら逆に気持ちが軽くなった」という方もたくさんいらっしゃいます。
「先生、そんなこと言ったら本当に死んじゃう人いますよ!」
と一度こっぴどく叱られたことがありますが、それぐらいみんな「生きたい」と思っているんだなぁと感じています。
あの頃の自分に手渡したい本
私自身も、物心ついた頃から「死にたい」と思って生きてきた一人です。
「死にたい」というかは「早くこのツライ人生を終わりにしたい」という感覚です。
高校時代にはそれを明確に感じ、社会に出てからは、もうあの世と紙一重のところにいました。最も苦しかった30代の頃は、この電車に飛び込んだらどんなにラクだろうと思いながら毎朝ホームに立つ日々。
そんな、あの頃のボクに手渡したいのが、この本です。
まず「あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きてるから」というタイトルに、「そうそう!そうなんだよ!」と大きく共感。
精神科のドクターが書かれた本としてはかなり攻めたタイトルと感じましたが、実際それだけストレートな熱い想いとともに、真の優しさが詰まっている本でした。
胸に響く平先生の経験と言葉
平先生自身が、3浪で鬱になりながら医学部へ入学、精神科医の恩師の突然の自死、東日本大震災での被災、など、本当に多くのシンドイ経験をされてきています。
そんな先生が終始一貫して語られる読者へのメッセージは
「あなたは本当にすごい」
「そのままで素晴らしい」
がんばって真剣に生きているからこそ「死にたい」という想いにつながる。
だからまずはそのがんばってきた自分をしっかり認めてあげる。冒頭から読者へのねぎらいの言葉が並び、一気に引き込まれて読みました。
現状を否定せず、
「死ぬという制限すら一度はずして、背負ったものをリセットしてみる」
精神科の先生がこれを言うのは大きな覚悟がいったのではと思います。
ご自身の体験と多くの患者さんを診てきた経験から紡ぎ出される言葉たちが、一つ一つ胸に響きます。
精神論だけに陥らない納得感
悩みや苦しみを生み出す理論的な説明も盛り込まれ、精神論だけに陥らない、医師ならではの納得感も得られる内容。
文体の文字数も読みやすく設定されており、サラリと読めてココロに深く残ります。
私自身はもう「死にたい」と思うことはなくなりました。
とはいえ積極的に「生きたい!」というかは、「まあ生きてやってもいいかな」ぐらいな感じです(笑)。
それぐらい肩の力を抜いて人生を楽しめる自分になれましたが、そんな自分がその道中で欲しかったなぁと感じた言葉がたくさん詰まっています。
こんなにわかってくれる人がいるなんて。
あの頃の自分に読ませたら、泣くんじゃないかな。
カウンセラーである私自身も、こんなふうに誰かのココロに安心と勇気を与えられる人になりたいなと改めて感じました。
平先生、ステキな本をありがとうございました^^
☆Amazonサイト
https://www.amazon.co.jp/dp/4763138898
出典:加藤隆行さまFacebook投稿(2021年9月8日)
評者プロフィール
メンタル本大賞2021 ノミネート作品著者
加藤隆行(かとう・たかゆき)
1971年生まれ。愛知県名古屋市出身。
福井大学大学院工学研究科卒業後、SE としてNTTに入社。インターネット黎明期よりOCNなど関連サービスの企画開発に携わる。激務の中、30 歳のとき体調が激烈に悪化。3 度の休職と入退院を繰り返し、しだいに自身のココロと向き合うようになる。
2015 年に退職し、心理カウンセラーとして独立。「自分自身と仲直りして優雅に生きる」をコンセプトに、全国でカウンセリングやセミナーを開催している。
これまでの著書に、メンタル本大賞2021ノミネート作品『「会社行きたくない」と泣いていた僕が無敵になった理由』、『「また怒ってしまった」と悔いてきた僕が無敵になった理由』(ともに小学館クリエイティブ)があり、最新作となる第3弾は、過去2作で解説した理論をより具体的かつ実用的な内容に落とし込んだ“実践編”となる。
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「会社行きたくない」気持ちがゆるゆるほどける本 加藤隆行 著 小学館クリエイティブ 2021年4月発売 |
メンタル本大賞実行委員会によるインタビュー
著者の加藤隆行さん、編集者の寺澤薫さん(本作品を担当:小学館クリエイティブ)と酒井徹さん(過去2作品を担当:同)にお話をうかがいました!