『1日3分でうつをやめる。』(扶桑社)の著者であり、メンタル本大賞の選考委員を務めていただいている、川本義巳さん(公認心理師&メンタルコーチ)のインタビュー。
4日連続でお届けしてきましたが、今回は最終回!
1日3分でうつをやめる。 川本義巳 著 扶桑社 2019年10月発売 |
【PART4】僕たちはけっして一人じゃない!
― Facebookの投稿でとても印象的なものがありました。川本さんの隣に写っている方が先ほど話題に出た、師匠の平本あきおさんですね。この投稿を読んで胸が熱くなりました。
プロコーチと名乗って10年。
決して楽な道ではありませんでした。なんせ元々不器用だし、能力も低いのでそんなに簡単に結果を出すことはできませんでした。最初の2年間、契約してくれたクライアントは0人。セミナーを告知しても申し込みはゼロ。企業や病院なんかにアプローチしてもNO。正直、なんどもなんども辞めようと思いました。(中略)
でも続けられた。それは 恩人の存在 があったから。うつ病だった僕を救ってくれたのはまぎれもなくコーチングです。だから僕は僕にコーチングを教えてくれた人を裏切るわけにはいかないんです。なんどもなんども諦めようとしたとき、平本さんや酒井さん、大樹さんの顔を思い出して
「僕がコーチングを諦めたら、この人たちがやっていることを僕自身が全否定することになる。それだけは絶対にアカン!」
そう思って踏ん張ってこれました。
― コーチとして独立されてからも大変なご苦労があったのですね。
うつ病になった時もつらかったんですけど、独立してからは困窮して本当に大変でした。妻からはため息が尽きなくて、毎晩のように寝床で僕は妻に謝り続けていました。当時は、自己破産、自殺、離婚の3つを常に考えていました。あと何かもう一つ大きなことが起きていたら、人生終わっていたと思います。
― 抜け出せたきっかけは何だったんですか?
コーチの仕事をやりたかったのに、専念せずに別の仕事も掛け持ちしていたんです。でもその仕事もうまくいかなくなってしまいまして。悶々としているときに、妻が平本あきおさんの講演会を見つけてきて、一緒に行こうと誘ってくれたんです。この時の平本さんとの出会いがなかったら、今の僕はありません。妻には本当に感謝しています。
メッセージ
― 川本さん、最後に「しんどい」「生きづらい」と感じて苦しんでいる方にメッセージをお願いします。
人生はどこからでもやり直しがきくし、どこからでもハッピーになれます。だから絶対にあきらめて欲しくないと思います。
一番言いたいことは、とにかく一人にならないこと。一番怖いのは、孤立してしまうことです。うつを解消をするのに大切なことは、孤立を解消することなんです。
けっして一人ではないです。
必ず自分のことを受け入れてくれる人がいるので、リアルでなくても、遠方の人でも構わないので、どうか孤立しないで欲しいと思います。
僕がクライアントさんによく投げかける質問があります。
「どうして自分がうつになったと思う?」
「なんで自分なんだろうと思わなかった?」
僕は「あなたが乗り越えて、次に困っている人を手助けするためだよ」と答えます。
意味があると思います……いろいろなことには。つらい思いをしたら、同じような境遇の人の気持ちがわかるわけだし。
残念ながらいまだに、うつに対する無理解な部分は残っていますが、「うつサバイバー」だからこそ、世の中を変えていけると思うので。「この経験を活かすために自分は存在しているんだ」と思って欲しいと思います。
― 川本さん、ありがとうございました!選考委員を引き受けてくださって、本当にうれしかったです。今後ともご支援を宜しくお願いいたします。
トライ&エラーの重要性と成功法則
こちらは、川本さんが当時のつらかった頃を振り返り、トライ&エラーの重要性について語っている動画です。
川本さんが苦境を乗り越えた3つのポイントは、「認知」「戦略」「レジリエンス」だそうです。興味がある方はぜひ下の動画をご覧ください!
NASAで火星探査機開発にも携わられた、ドラゴス・ブラタサヌ(宇宙工学)博士によるワークショップに参加した、川本さんはドラゴス博士のこの言葉に衝撃を受けたそうです。
「世の中にはたくさんの成功法則がある。ただその成功法則というのは昨日までの誰かが成功したやり方であって、あなたが成功するやり方ではない!」
プロフィール
メンタル本大賞 選考委員
川本義巳(かわもと・よしみ)
三重県松阪市生まれ津市在住。
うつ専門メンタルコーチ/公認心理師/一般社団法人エフェクティブコーチング協会代表理事。高校卒業後、SEとして20年以上メーカーに勤務。大手IT企業への転職を機にうつ病を発症、寝たきり状態になり、1年2か月の休職を余儀なくされる。2007年コーチングに出合い、うつ病を完全克服。それを機にうつ専門のプロコーチになることを決意。コーチング、NLP、アドラー心理学、エリクソン催眠を学び、それらを応用したメソッドを開発し、2010年個人コーチングを開始。自治体や上場企業でのメンタルヘルス研修講師や精神科クリニック、児童相談所、教育委員会での相談業務等でも経験を積み、10年間で1万件以上の相談、指導を行っている。
1日3分でうつをやめる。 川本義巳 著 扶桑社 2019年10月発売 |