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【書評】『悩み方教室』(評者:河合南/書店店主)

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古本と新刊のこだわりの選書やアクセサリーなどの雑貨を取り扱う独立書店「百年の二度寝」(東京都練馬区)の店主 河合南さまより書評をお届けします!

メンタル本大賞®2022 ノミネート作品

悩み方教室
河田真誠 著
CCCメディアハウス
2021年4月発売

書評

評価ポイント

  1. 起業、離婚など豊富な人生経験を持っている著者の「頼りがいのある兄貴」というべきキャラクターが立っていて、著者と対話している感覚で読める。
  2. 「悩むこと」に特化した内容だけに、「やりがちな勘違い」や「自問のコツ」などきめ細やかな配慮のある記述になっている。
  3. 概して曖昧なものになりがちな「悩み」を分析し自問することを促しており、自分が何に悩んでいるのかをはっきりさせられる。
  4. 「悩み」を扱いながらも、あくまでも前向きでポジティブである。

前向きに読める内容ゆえに前向きになれるだけの心的エネルギーを要求する本でもあるな、と思いました。
精神的にどん底な状態の時よりは、もう少し元気な時に手に取りたい本かもしれません。
文章は読みやすく、ちょっと暑苦しいけど頼りがいのある先輩と語り合っている感覚で読めます。

出色なのは、8つの質問に答えることで、いま直面している悩みの輪郭をはっきりさせてゆく「ひとり質問会議」。
漠然とした悩みを細かく分解し、視点を少し引いて俯瞰することで、とてつもなく大きく見えた悩みを、ひとつひとつ乗り越えられる小さな課題に変えてゆく手法は、とても合理的だと思いました。
これまで読んできたメンタル本でも、「分解」と「俯瞰」というやり方を唱えるものが多く、これは普遍的な方法論なのだと思います。

「悩み」という部分に徹底してフォーカスを当てているのが、この本のユニークなところだと思います。
悩みについて記述する事に徹しているため内容が散漫にならず、悩みに向き合う上で陥りがちな「勘違い」についても記述するなど、配慮の行き届いた一冊となっています。

「百年の二度寝」店主・河合南さんよりお知らせ

独立書店 百年の二度寝(西武池袋線 江古田駅より徒歩5分)は書籍の販売以外の活動を行える場を目指し、あらゆる表現を扱う本屋「とか」の店をうたっています。


現在、アニメ『おしえて北斎!-THE ANIMATION-』の美術監督、コミックエッセイ『実録 解離性障害のちぐはぐな日々』(合同出版)の著者でもあるTokinさんの原画を期間限定で(2022年9月5日まで)取り扱っています。

ぜひお立ち寄りください。

メンタル本大賞実行委員会

評者プロフィール


河合南(かわい・みなみ)
東京都練馬区の書店「百年の二度寝」の店主です。発病してから15年以上付き合ってきたうつ病の当事者でもあります。店主自身が精神疾患の当事者と言うこともあり、精神疾患の当事者さんや周囲の方が読める本にも力を入れています。

公式サイト・SNS
百年の二度寝ホームページ
百年の二度寝 Twitterアカウント(@mukadeyabooks)

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