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【書評】『かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方』(評者:河合南/書店店主)

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古本と新刊のこだわりの選書やアクセサリーなどの雑貨を取り扱う独立書店「百年の二度寝」(東京都練馬区)の店主 河合南さまより書評をお届けします。

「メンタル本大賞®2023」エントリー作品

『かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方』時田ひさ子 著(あさ出版) かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方
時田ひさ子 著
あさ出版
2022年5月発売

書評

「かくれ繊細さん」とは「HSS 型HSP」、つまり “共感能力が高く繊細で傷つきやすい側面(HSP) を、外向性、社交性、積極性、好奇心旺盛さという別の側面(HSS)によって外面化しないようカバーしている人たち” であると、著者は定義しています。

HSPとされる特性の割合は解釈によって変わってくるようですが、その傾向ゆえに生きづらさを抱える人は少数派であることは確か。
しかし、巷にはHSPに関する情報があふれており、それだけ切実な状況にある方が多いということなのでしょう。

本書の最大の特徴は、著者自身が「かくれ繊細さん」であると自認しており、「かくれ繊細さん」専門のカウンセラーとして、数多くの当事者に出会っていること。
それだけに、著者が「かくれ繊細さん」について語る言葉はディティール豊かで、実感がこもっています。

例えば、「かくれ繊細さん」は他人の悪い感情を感じ取る能力もよい感情を感じ取る能力も高く、適度に鈍感な普通の人たちより他人の感情に振り回されやすい感受性を持っているそうですが、著者はこれを「感受性がはみ出す」と表現しています。
この言葉など、当事者ではないとなかなか出てこないリアリティに根差した言葉だと感じます。

「かくれ繊細さん」に対しての著者のアドバイスにも思いやりがあり、具体的で簡単に取り組めるものが多いです。
また、自分の気持ちを書き出して「外在化」するとか、頑張りすぎないように気を付けるなど、「かくれ繊細さん」対象にとどまらない、汎用性のあるアドバイスだと思います。

「もしかしたら、自分はかくれ繊細さんかも……」と思うかたは、一読して損のない一冊です。

評者プロフィール


河合南(かわい・みなみ)
東京都練馬区の書店「百年の二度寝」の店主です。発病してから15年以上付き合ってきたうつ病の当事者でもあります。店主自身が精神疾患の当事者と言うこともあり、精神疾患の当事者さんや周囲の方が読める本にも力を入れています。

公式サイト・SNS
百年の二度寝ホームページ
百年の二度寝 Twitterアカウント(@mukadeyabooks)

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