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【書評】『がんばらないことをがんばるって決めた。』(評者:寺田真理子/日本読書療法学会会長)

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日本読書療法学会を設立して、読書セラピーの研究と実践を続けてきた寺田真理子さまより書評をお届けします!

メンタル本大賞®2022 ノミネート作品

がんばらないことをがんばるって決めた。
考えるOL 著/おさつ イラスト
KADOKAWA
2021年11月発売

書評

生きていくうえで大切なことを、学校で教えてくれたらいいのに……。

「こういうことで悩んだら、こう考えるといいよ」
「こんな気分になったら、これを試すといいよ」

落ち込みながらでも、立ち直って生き続けていくための基本を学んでいたら、ずっと生きやすくなると思うのです。

だけど残念ながら教えてもらえないから、みんなそれぞれ自分なりに見つけていくしかないんですよね。
そこで真面目にがんばっていろいろなことを乗り越えてきた方ほど、それ以外のやり方を知らずに来てしまいます。

つらいことがあったときに、「今回もがんばればなんとかなる」と思ってしまうのです。
そしてそれがうまくいかないと、著者と同じように、苦しい思いをすることになります。

なんでこんなにも真面目に生きてきたのに、上手く幸せになれないんだろう。

出典:『がんばらないことをがんばるって決めた。』考えるOL 著/KADOKAWA(58ページ)

そんな思いから、著者が試行錯誤しながらつかみとってきた、生きていくうえで大切なこと。

それは「がんばらないこと」でした。

投げやりになるのではなく、自分らしくがんばり続けていくために、がんばらない。
その考え方やコツを、OLとしての著者の日常を通して伝えてくれます。

たとえば、厄介なことがあってネガティブな気持ちになってしまうとき。

出社がだるいなら甘いカフェラテをお供にするなど、“ネガティブには好きなモノをお供させるという考え方” で著者は乗り切ります。

繊細な心を持った考えるJKは、不安を押しのけてしまうほどのポジティブ精神を持つことが人生には必要だと思っていた。
でも、考えるOLになった今では、むりやりポジティブにならなくても、ネガティブを好きな気持ちで上手くごまかしていけばいいんだと思っている。

出典:『がんばらないことをがんばるって決めた。』考えるOL 著/KADOKAWA(100ページ)

こんなふうに、物事の捉え方や日々のしんどい場面への対応方法など、身近な経験から伝えてくれるので取り入れやすいですし、実際にやってみることで、変化を感じることができるでしょう。

デザインや内容から、社会人になりたてくらいの読者が想定されますが、もっと年齢層の高い読者にも響く内容です。

ていねいに一つひとつの物事を考えてきたことが感じられる言葉で綴られているから、がんばり続けてきた大人にも届くのです。

疲れているときは、ハイライト箇所やツイート風のデザインの箇所を読むだけでも、きっと新しい気づきが得られると思います。

評者プロフィール

寺田真理子(てらだ・まりこ) 
長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在し、ゲリラによる日本人学校脅迫や自宅の狙撃を経験。東京大学法学部卒業。多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演・執筆・翻訳活動。読書によってうつから回復した経験を体系化して日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。また、うつの体験を通して共感した認知症について、パーソンセンタードケアの普及に力を入れている。著書、訳書多数。日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー。

心と体がラクになる読書セラピー
寺田真理子 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2021年4月発売

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