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【書評】『がんばらにゃい生きかた』(評者:寺田真理子/日本読書療法学会会長)

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2022選考委員MVP賞を受賞。日本読書療法学会を設立して、読書セラピーの研究と実践を続けてきた寺田真理子さまより書評をお届けします!

「メンタル本大賞®2023」エントリー作品

『がんばらにゃい生きかた』Jam 著(笠間書院) がんばらにゃい生きかた
Jam 著
笠間書院
2022年5月発売

書評

ゆるめるって、難しいことですよね。

気持ちがいっぱいいっぱいのときには、力の抜き方がわからなくなってしまうものです。
視野も狭くなって、思いつめていってしまいます。

そんなときに、ちょんちょんと後ろから肩をつついてくる誰かがいる。
振り返ると、のんびりした表情で、「どーしたのー?」なんて話しかけてくる。

そのおかげで、「あれ? なんでこんなに思いつめていたんだろう?」と、ふと我に返ることができる。

この本は、そんなふうに脱力させて、気づきを与えてくれる友人のような存在です。

たとえば、こんなメッセージを伝えてくれます。

13 | 価値観を押し付けられたら

押しくらまんじゅう
みたいに
押し返しても
いいんです

出典:『がんばらにゃい生きかた』Jam 著/笠間書院(36ページ)

25 | ずるずる付き合ってしまう

たばこみたいに
害があるなら
禁縁しましょう

出典:『がんばらにゃい生きかた』Jam 著/笠間書院(60ページ)

57 | 暗いとか明るいって言われる

相手と
人生の彩度が
違うだけ

出典:『がんばらにゃい生きかた』Jam 著/笠間書院(124ページ)


最小限の言葉とイラストでハッとさせることができるのは、この本が細部にわたってしっかり作りこまれているからこそでしょう。

疲れて読むことがしんどいという読者のために、負荷がかからないように配慮されています。

読むというよりも、その時の気分でぱっと開いてみるのもいいでしょう。

自分が読むだけでなく、まわりの人が落ち込んでいるときや、つらいときに贈る本としてもおすすめです。
そういうときに本はとても力になってくれますが、どんな本を贈ればいいのか、選ぶのは悩むものですよね。

いかにも「弱っている人向け」という感じの本だと「そう思われているのか」とかえってマイナスになってしまう可能性もあります。
その点、本書のゆるいテイストなら、相手も気軽に受け取りやすいと思います。

実際にこの本を人に紹介する機会があったのですが、相手の方が一つひとつの内容に「ああ~」と深くうなずいているのを見て、この本の効果を実感しました。

メンタル本大賞®選考委員 寺田真理子さま提供2023.12.21『がんばらにゃい生きかた』(Jam 著/笠間書院)

評者プロフィール


メンタル本大賞2022 選考委員MVP賞
寺田真理子(てらだ・まりこ) 

長崎県出身。幼少時より南米諸国に滞在し、ゲリラによる日本人学校脅迫や自宅の狙撃を経験。東京大学法学部卒業。多数の外資系企業での通訳を経て、現在は講演・執筆・翻訳活動。読書によってうつから回復した経験を体系化して日本読書療法学会を設立し、国際的に活動中。また、うつの体験を通して共感した認知症について、パーソンセンタードケアの普及に力を入れている。著書、訳書多数。日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー。

心と体がラクになる読書セラピー
寺田真理子 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2021年4月発売

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