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【書評】『セルフケアの道具箱』(評者:一條仁/社会福祉士)

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本業の傍ら、恩送りをカタチにした「ペイフォワードカフェ」という取り組みを行っている一條仁さまより書評をお届けします!

メンタル本大賞®2022 ノミネート作品

セルフケアの道具箱
伊藤絵美 著/細川貂々 イラスト
晶文社
2020年7月発売

書評

本著には100のワークが書かれています。
こういう時はこのワーク、ああいう時はこのワーク、と網羅されていて盛りだくさんなので、ターゲットごとに3冊くらいに分けてもいいのでは?と思いました。

しかし、本著は、100のワークを全て実践してください、と訴えているわけではありません。
各章10ずつワークが書かれているのですが、そのうち2~3に取り組んでほしいとのこと。
それだけ汎用性があって、この一冊でセルフケアについてはこと足りるというのは長所でもあると思います。

さらに、興味のある人向けに心理用語の解説があったり、とっつきやすいようにワーク集がまとめてあったり…つくづく、サービス精神旺盛な本だなと思います。

1.手に取りやすい!

本著は、基本的に目次を読めば「何をすればセルフケアになるか」が書かれています。
その上で、気になるページを読めば、見開き1ページほどでその具体が書かれている、といった構成です。

一つの項目あたり、読み終えるのに1〜2分です。
つまり、それだけ簡単に手に取れてしまう、ということ。

枕元に置くなどして、「本を読む」というより、「手がかりを見つける」ために本著を利用するのがよいかもしれません。

2.どこからでも読める!

章立てが秀逸です。
本ってどうしても初めから読みたくなります。

しかし、本著は「はじめに」読み方について触れており、その時その時の自分の状態に合わせて本著を手に取ることを薦めています。

さらに、それぞれの章を読み始めると、一番最初に「解説」がついています。
これがとてもよい。

「はじめに」で読み方を説明してくれていますが、どこからでも読むために、「はじめに」で触れられている読み方を、「解説」で深堀りしてくれています。
この構成が本当に親切だなと思いました。

3.励ましてくれる!

セルフケアの方法を教えてくれるだけでなく、文体に筆者の思いやりが表れています。
文章のところどころで、あたたかな眼差しで、助言をくれます。
まるで、目の前に心中穏やかでない人がいるかのように。

本を通してカウンセリングを受けることができる。
大袈裟ではなく、時折その感覚になることがありました。

まとめ

筆者のやさしい文体や、イラスト構成も相まって、さらにページを読み読みたい、と思わせてくれます。

30くらいのワーク数でコンパクトに持ち運びできれば、筆者の「励ましの言葉」を時折読みたい気持ちになる読者もいるのではないかと感じました。
中身が詰まっているのでどちらかというと「寝室に置いておく本」かなと思います。

なぜここまでやさしく、当事者に寄り添うような言葉を綴ることができるのか…。
巻末に筆者の「個人的なこと」が綴られる節があります。
ここを読むと、もう一度、読みたくなるような気持ちになってきます。

真心こもった手作りの道具箱です。
ぜひ、手に取ってみてください。

評者プロフィール

メンタル本大賞 選考委員:一條仁さん(社会福祉士)
一條仁(いちじょう・ひとし)
福島県出身。2015年福島大学卒業、2017年同大学院中退。在学中は震災復興支援活動に尽力。福祉系NPOでボランティアをしたことをきっかけに、障がい者就労支援事業所に就職。海外研修で豪・シドニーに滞在し、オーストラリア福祉を学ぶ。帰国後、福祉ベンチャー企業に転職。福祉人財の育成・採用業務等を担う。複業として、善意の循環をカタチにした「ペイフォワードカフェ」の開催や教育機関等での講演活動を行う。「思いやりを広げる人を増やす」を自身のミッションとして実践を重ねている。

公式サイト・SNS
Twitterアカウント(@fukushima_swlab)
ふくしまソーシャルワークラボ

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