セラピストとして、自分と同じHSP気質の医療・介護従事者クライアントのケアをしながら、文筆活動をされている佐々木戸桃さまより書評をお届けします!
かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方 時田ひさ子 著 あさ出版 2022年5月発売 |
書評
日常の諸々を着実に腑に落としたい・納得したい、という感覚を抱くかたへ
HSPの中でも《刺激を求める・好奇心旺盛》な特性を持つとされるHSS型HSPさん向けのこちら…
じつは、書店で見かける度に「内向的なわたしにはあてはまらないなあ」と思い込んでいたのですが、読むに遅い、はなく、いま出会わせていただき、新たに見えたものとその大きな喜びは、『腑に落ちる・納得する』という感覚にて、しっかりと得ることができました。
密度の濃い一冊です。
著者の時田ひさ子先生は、HSS型を”かくれ繊細さん”と表現なさっています。
そのソフトなネーミングも、繊細であることを知られたくない・隠し続けているうちに自分がわからなくなってしまった、という方々には、そっと寄り添うものでもあるでしょう。
では、早速その内側をご紹介します。
目次を読むと、そこに連なる単語のみでぐいぐいと惹き込まれ、「そう!ある!!」と思わず口からこぼれるほどときめきました。
自身がHSPと自覚してからの20年以上、ほんとうにお恥ずかしい限りですが、(わたしは本来の自分の一部分を、あえて見ない様にしていたのかも)と気付かされる部分も多々…
『わたしのような変人は地球にふさわしくないんだろうな』
という極端な思いをこれまで幾度となく感じてきましたが、なぜ変わり者とされるのか・なぜ自分でそう思うのか、を丁寧に紐解くところから始まります。
HSS型は一般的には『エネルギーが大きい』とされますが、同時に持ち合わせる繊細さゆえにうまく自己を扱えず道に迷ってしまい、不完全燃焼感を覚えてしまう、ということがあります。
これを聞いてもしも何かを感じたなら、迷わずこの書を手に取ってみることをお勧めします。
それこそ、求めている”腑に落ちる・納得できる”を味わえることでしょう。
p.010〜011は、自己分析シート。
ここのチェックを元に、第3章のワークを実践しつつ、自分がらくになっていく感覚を体感・会得していくのですが、
「*繊細なワークなので、途中でつらくなったらやめてください。」
(p.146、p.152、p.156、p.158、p.164、p.170)
との但し書きが白抜きの小フォントでひっそりと添えられていることにも配慮を感じられます。
独自の視点ではありますが、この但し書きに気付くことが繊細さんの目安、とも受け取れるものでした。
自己探求は一生続けていいもの
わたくしごとで恐縮ながら、子ども時代は1人の時間が多かったため読書に没頭した日々でした。
しかし、大人になってから、なぜか本を多く読む事そのものが苦手になりました。
どうして?と長らく感じ続けていたのですが、その理由も時田先生がきめ細やかに綴られる文により、明確に解き明かされていきます。
また、感情(主観)としての『孤独』を好むけれども、状態(客観)としての『孤立』に苦しみ続ける複雑な気質を持つ自身にとって、p.043にあるチェックリスト内で、孤立、という二文字を見つけた際は、なんと救われた気持ちになれたことでしょう。
上記は本書を拝読して感じた膨大な感覚のうちのほんの一部ですし、わたし自身はやはりHSS型と言い切れはしない気質ではあるのですが、
・自己探求は一生続けていい。
・時には思いきって、閉じ込めていた心の奥底のふたを開けてみるのはすてきなこと。
・HSPであろうとなかろうと、HSS型であろうとなかろうと、自分を知ってらくになろう。
を教えていただきつつ、
★自分を自分として何もジャッジせず、ただのめりこむ。
その清々しさへ至る迄のプロセスこそを、この書から多くの方に感じてほしいな、と思います。
評者プロフィール
佐々木戸桃(ささき・ともも)
東京都出身。大学時代、学内文芸誌主宰を機に、自身の詩集(既に絶版)を出版。卒業後、広告代理店に入社し、クリエイティブ部門で製薬会社、文具メーカー等の販促ツール制作に携わる。徐々に組織内での振る舞いに疲れ3年後に退職、以降ライターとして独立。実用誌・ムック・書籍の取材執筆編集業務をする内に、関わる人々から公私問わず相談を受け続けていると気づき、独自のセラピー・カウンセリングスタイルを見出して本格的に活動開始。現在は、主に自身と同じHSP気質の医療・介護従事者クライアントのケアに注力しつつ、文筆活動もゆるりと継続中。
おもな著書
『ユニクロ★デコ・リメイク』佐々木戸桃、五十嵐友美 著(雷鳥社)
『NHKサラメシ あの人が愛した昼めしの店』NHK「サラメシ」制作班 編(主婦と生活社) ※編集協力
他、実用誌・ムック約200冊に、取材、編集協力クレジットあり。
公式サイト・SNS
Twitterアカウント(@tomomo_journal)