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【書評】『うつ病のぼくが始めた行商って仕事の話』(評者:加藤隆行/心理カウンセラー)

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2021年、2022年と2年連続ノミネート(2021年は【特別賞】受賞)の著者で、選考委員としてもご協力いただいている 加藤隆行さま(心理カウンセラー)より書評をお届けします!

「メンタル本大賞®2023」エントリー作品

『うつ病のぼくが始めた行商って仕事の話』ちゃんちき堂のてつ 著(文芸社) うつ病のぼくが始めた行商って仕事の話
ちゃんちき堂のてつ 著
文芸社
2022年9月発売

書評

著者さんのことは、数年前にTVのドキュメンタリー番組でたまたまお見かけしました。
その時に「ああこの人はボクと似ている」、と思いました。

なぜなら私も同じように、うつを患ったまま会社をやめ、「そのままの自分」で働けるように「生業」を作ってきたからです。

軽く100万人を越えると言われる日本のうつ病患者。
その理由はいろいろあると思いますが、そのひとつが、「時代と働き方の流れが大きく変わった」、ということなのだと思います。

昭和の高度経済成長期の右肩上がりの時代は「会社に自分を合わせること」である程度の幸せが保証されてきました。

しかしバブルもはじけた平成は、同じように働いても、給料も上がらず、昇進もしない。
昭和と違いモノは最低限誰もが持っており、物質的に満たされることは少ない。

でも社会の価値観はいまだ変わらず「会社に自分を合わせること」「成長し続けること」を求められ、そこに適応できなくなった人たちが、心の病を患ってしまったのかもなぁと思っています。

この本は、そんな「会社に自分を合わせた働き方」から、「社会を自分に合わせていく働き方」が書かれています。

「うつ」という極限状態に陥ったからこそ見えてきた「働き方」の再定義。
常識のように捉えられがちな規模の拡大や利益の追求といった仕事のあり方に大きな問いを投げかけてくれます。

バリバリのIT企業でNo2.にまでなった著者が、うつ病と共生しながら、本当に一歩一歩歩んで積み上げてたどり着いた「行商」という働き方。

自分らしさってなんだろう?

その試行錯誤の過程が赤裸々に綴られています。

軽妙でありながら説得力ある文体で、読み物としてもとても楽しく読ませていただくことができました。
いままさに心苦しい人たちに、勇気とゆるしを与えてくれる本だと思います。

評者プロフィール


加藤隆行(かとう・たかゆき)
ココロと友達オフィス代表 心理カウンセラー
幼少より病弱だったこともあり、劣等感が強くコミュニケーションの苦手な子に育つ。大手通信会社での激務の中、30歳のとき体調が激烈に悪化。3度の休職と入退院を繰り返し、カラダだけでなく次第にココロとも向き合うようになる。2015年に退職し、心理カウンセラーとして独立。「自分自身と仲直りして優雅に生きる」をコンセプトに、東京を中心に全国でカウンセリングやセミナーを開催。愛称は「かとちゃん」。

小学館クリエイティブさま提供書影『「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと』(名越康文 監修、加藤隆行 文/小学館クリエイティブ) 「どうせ自分なんて」と思う君に、知っておいてほしいこと
名越康文 監修/加藤隆行 文
小学館クリエイティブ
2023年8月発売

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小学館クリエイティブさま提供画像「【全国の学校図書館・保健室へ】生きづらさを感じる小学生に〈自己肯定感〉を育む本を」For Good! クラファン

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