Xなどでメンタルケアや自分らしく生きる方法を心理学と生科学の視点から発信している きょうさま(製薬会社 主任研究者)より書評をお届けします!
10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方 増田史 著 ナツメ社 2021年8月発売 |
書評
この本は、心と体が大きく変化する思春期において自己理解やストレス管理のスキルを身につけることがいかに重要であるかを強調しています。
本書は以下のような主要なテーマがあります。
しんどさの理由を知る
思春期に感じる「しんどさ」の原因について探求します。
友人関係や家庭環境など、さまざまな要因が心に与える影響を理解することが重要です。
しんどさの原因から自由になる
自分自身が抱えるプレッシャーや期待から解放される方法について説明します。
例えば、「友達は多い方がいい」という社会的な期待に対する考え方を見直すことが提案されています。
しんどさを手放しラクに生きるスキル
セルフモニタリングやマインドフルネスなど、具体的なセルフケア技術が紹介されます。
これらの技術は、自分の感情や思考を観察し、受け入れることで心の負担を軽減する助けになります。
SOSを出すスキル
自分一人で抱え込まず、他者に助けを求めることの重要性について述べています。
信頼できる友人や家族、専門家とのコミュニケーションが心の健康に寄与することが強調されています。
Q&Aセクション
読者から寄せられた具体的な悩みに対する回答も含まれており、実際的なアドバイスが得られます。
これにより、読者は自分自身の問題に対しても具体的な解決策を見つけやすくなります。
本書は思春期特有の悩みやストレスに対処するための知識とスキルを提供し、自分自身を守るための実践的な手段を学ぶことができる貴重なリソースです。
著者自身も精神的な困難を経験しており、その経験が本書に深みと信頼性を与えています。
思春期におけるメンタルヘルスのケアは、その後の心身の健康に与える影響は計り知れないものであると認識しています。
本書は特に、若者が抱えがちな「しんどさ」や「不安」の原因に焦点を当て、その解放に向けた実践的なアプローチを紹介している点で評価できます。
さらに、具体的な「セルフモニタリング」や「マインドフルネス」の手法が紹介されていることも高く評価できる点です。
セルフケア技術としてのマインドフルネスは、心のバランスを整えるための有効な手段であり、近年の心理学的・精神医学的研究においてもその効果が立証されています。
本書は専門的な知識をかみ砕きながら、思春期の若者に向けてわかりやすく説明しており、科学的根拠に基づいたケア手法を若い世代が身につけられるのは大きな意義があります。
また、「SOSを出すスキル」の重要性について述べられている点も注目に値します。
本書は他者に助けを求める力の重要性を具体的なアドバイスと共に強調しており、信頼できる大人や専門家とのつながりを促進するように導いています。
このようなスキルの習得は、思春期を越えて社会人になった後も、自己管理能力の基礎となることでしょう。
本書は思春期特有の悩みに寄り添い、信頼できるセルフケア方法を提供している点で、思春期を迎える若者やその保護者、教育者にとっても大きな価値を持つ内容だと感じました。
選考委員プロフィール
きょう
静岡県出身。大学院を卒業後、新卒で外資系製薬会社に入社し研究職として勤務。幼少期の家庭事情から心の問題にも強い関心がある。現在は、会社員として創薬研究に携わりつつSNSを用いた情報発信に取り組み、心身の健康に貢献する活動もしている。Xでは「科学的根拠に基づいたメンタルケア」を主に発信中。
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