古本と新刊のこだわりの選書やアクセサリーなどの雑貨を取り扱う独立書店「百年の二度寝」(東京都練馬区)の店主 河合南さまより書評をお届けします。
こころのもやもやを脳のせいにしてラクになる方法 加藤俊徳 著 WAVE出版 2021年7月発売 |
書評
脳内科医、脳科学者である著者による、「心の悩み」を「脳の働き」に置き換えて解説するというユニークな一冊。
しかし、突飛な事は主張されておらず、これまで読んできたメンタル本と共通点も多い本でした。
例えば、自分の中でもやもやしている思いを「言語化」すること(著者は度々「日記をつける」事を推奨しています)、自分の考え方の癖に気付きその癖から思考が狭くなっていないかに気を配ることなどは、昨年から読んできた数々のメンタル本と通じるところのある方法論です。
その一方で、本書を貫いているのは、「積極的思考」を重んじる思想です。
著者は度々、「他者の評価は気にせず自分自身の基準を持つべき」「何かをする前に考え込んでしまう必要は無い、まず行動しよう」「失敗も経験であり成果だから恐れる必要はない」と説きます。
人間って、とかく考え込んで身動きが取れなくなってしまうもの。
特にメンタル本を必要とするタイプの方は、その傾向が強いと思います。
しかし、徹底的なプラス思考である著者の言葉は、そんな私達の背中を元気に押してくれます。
悩みの沼の中で「いったい何をしてるんだろう?」と思ってしまった時、前向きな気持ちを取り戻したい時に力をくれる本だと思います。
評者プロフィール
河合南(かわい・みなみ)
東京都練馬区の書店「百年の二度寝」の店主です。発病してから15年以上付き合ってきたうつ病の当事者でもあります。店主自身が精神疾患の当事者と言うこともあり、精神疾患の当事者さんや周囲の方が読める本にも力を入れています。
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