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【書評】『僕たちはもう帰りたい』(評者:平光源/精神科医)

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メンタル本大賞2021【選考委員MVP賞】に輝いた平光源さま(精神科医)より書評をお届けします!

メンタル本大賞®2022 エントリー作品

僕たちはもう帰りたい
さわぐちけいすけ 著
ライツ社
2019年3月発売

書評

平光源の書評シリーズ。
今回はさわぐちけいすけ先生の『僕たちはもう帰りたい』です。

今回もこの本の良いところを3つに分けて解説しますね。

1.とっても共感できる本

働き方改革が始まったせいでもありますが、今企業はとにかく残業をさせないように厳しく社員に要求してきます。

20時になると業務用のパソコンがシャットダウンし、21時になると会社から出されるという企業も少なくありません。

ところが、納期は守れ、利益を出せと上の要求は全く変わらず。

結果的に、パソコンを使って仕事をするために、土日にサービス出勤をして休みがなくなったり、会社から追い出されたあと会社の駐車場でノートパソコンで書類を完成させたりなど、冗談のようなことが現実に起きています。

そんな悲しく理不尽な「あるある」がこの本には詰まっていて、本当に共感の嵐!

「自分だけじゃないんだ」と読む人の心が軽くなる本です。

2.喜怒哀楽、さまざまなな人間の想いが詰まった本

この本に出てくるのは、仕事をとっとと終えて帰りたい部下だけでなく、子育てに疲れた共働きの女性、最後の方に早く帰る意義がわからない上司など多様な人々が登場します。

そこで織り成される人間模様とこころの動きに、おもわず胸がキュッと締め付けらました。

私は昭和世代なので、弘兼憲史先生の『人間交差点』を読んで育ちましたが、この作品は、令和版『人間交差点』と言って良いのではないでしょうか。

喜怒哀楽、さまざまな人間の想いが詰まった本です。

3.あっという間に夢中で読んでしまう人間関係の取り扱い説明書

2.と矛盾した内容になってしまいそうですが、この本は、職場のハウツー本という側面もあります。

漫画のタッチも軽く、そして問題に対する解決策もシンプルに1ページにまとめてあり、決して重さも難解さも押し付けもありません。

ところが、ハウツー本にありがちな決めつけや薄っぺらさもなく、静かな感動があり夢中で続きが読みたくなります。

本当に不思議な感覚になる本です。

まとめ

この本を一言でまとめると

「人間の喜怒哀楽の機微を描いた心が軽くなる人間関係の取説」。

仕事に悩む部下の立場の方だけでなく、考え方のギャップに悩む上司や社長にもぜひ読んで欲しい本だと思います。

さわぐち先生、素晴らしい本をありがとうございました。

評者プロフィール

2022 優秀賞・2021 選考委員MVP賞
平光源(たいら・こうげん)

東北地方でクリニックを開業している開業医。
高校時代、自分の不登校によって医学部受験に失敗。
3年浪人してうつになり、ある本がきっかけでうつから回復した経験をふまえて、約20年精神科医として心のケアに当たる。
支援学校学校医、老健施設往診医、いのちの電話相談医、傾聴の会顧問など、その活動は多岐にわたる。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医。

メンタル本大賞2022 ノミネート作品

あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから
平光源 著
サンマーク出版
2021年4月発売

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